そんな中、「うたと音楽」のチカラを活用して高齢者の健康づくりや地域コミュニティ形成に取り組んでいるのが、一般社団法人日本音楽健康協会です。
うたと音楽は、人を楽しませるだけでなく、健やかな心と身体をつくるためのさまざまな可能性を秘めています。
今回は、うたと音楽のチカラを探るべく、一般社団法人日本音楽健康協会のみなさまにお話を伺いました。(理事長の大坪 直木氏、事務局の谷 英昭氏、認定講師の島田 裕樹氏)
そもそも「うたと音楽」の魅力って?

――「うたと音楽」が持つチカラについて教えていただけますか?
大坪さん:唾液分泌の増加による抗菌作用や、嚥下機能の向上などが挙げられます。
大勢の方々にうたと音楽のチカラを知ってもらうための標語があるので、ぜひそちらを覚えていただければと思います。
上記は、すべて科学的根拠に基づくものです。
鶴見大学歯学部の斎藤一郎教授と第一興商の共同研究では、歌唱後に以下の変化が見られました。
うたが好きな人と嫌いな人で若干の差はあるものの、同じような変化が見られました。
唾液には抗菌成分や消化酵素、上皮や神経などの成長因子が含まれているため、継続的に唾液量を維持することは、健やかな口腔環境づくりにも役立つと考えられています。
逆に唾液量が減ると、胃に負担がかかったり虫歯・歯周病のリスクが高まったりする可能性があります。
以下の動画では、ドライマウス研究の第一人者であり、鶴見大学歯学部 元教授である斎藤一郎氏が「うたと音楽の健康効果」について語っています。
協会設立の背景や理念|楽しく健康に
――協会の概要や設立の背景、理念などについて教えていただけますか?大坪さん:日本音楽健康協会は、2014年7月8日に設立しました。
多分皆さん、漠然と「うたや音楽って身体にいいよね」「歌うとストレス発散になる」と感じていらっしゃるのではないでしょうか。
日本音楽健康協会では、うたや音楽に触れた時の主観的な気分や楽しさではなく、科学的根拠に基づいてうたと音楽のチカラを広める活動を行っています。
学術的にうたや音楽の研究を行い、心と身体に与える影響を可視化し、福祉・健康・教育の領域において社会貢献するのが目的です。
協会の根底には、「楽しさを入り口に健康になってほしい」という想いがあります。
一人でも多くの方々に、うたと音楽を通じてハッピーになっていただきたいんです。
――設立のきっかけは何だったのでしょうか?
大坪さん:もともと、介護施設で働いている職員さんから「毎日のレクリエーションの内容を考えるのが大変」とお聞きしたのがきっかけです。
たとえば、「今日宴会で何か1つおもしろいことやってよ」と突然言われたら悩みますよね。
無事に終えて周りの反応が良かったとしても、「明日もやってよ」「これから毎日お願い」と言われたら困りませんか?
「そもそも何をやるのか」「どのようなことをしたら参加者の目的に沿うのか」を考えるのって、実はとても難しい作業です。
そのような方々のお悩みを解消すべく、日本音楽健康協会では、うたや音楽を組み合わせた指導法を楽しみながら学べる体制を整えています。
島田さん:運動や脳トレなど、「うたや音楽」以外にも健康によいとされている活動は他にもたくさんあります。
しかし、うたと音楽には、他の活動にはない「楽しさ」や「効果」があるんです。
たとえば、歌ったり音楽に合わせて身体を動かしたりすると、食べることや飲み込むことに必要な口腔機能* の維持向上や、脳を活性化させる効果が期待されています。
「楽しみながら継続できる」のも、うたと音楽ならではの魅力でしょう。
音楽健康指導士講座の概要|国家資格取得者も多数受講

――日本音楽健康協会で取得できる「音楽健康指導士」についても詳しく教えていただけますか?
島田さん:本協会の「音楽健康指導士」取得講座では、指導方法や知識、利用者(参加者)との関わり方などの実践的な内容を学べます。
準2級と2級があり、どなたでもご受講いただけます。

準2級は自宅での座学で、ユーキャンから申し込みが可能です。(申し込み後自宅に教材が届き、学習から課題提出まで自宅で完結するシステム)
実践について学べる2級は、対面で行っています。
2級から受講される方は3日間の受講が必要ですが、準2級をすでに合格している方は初日が免除されるため2日間の受講です。

――2級の講座では具体的にどのような内容を学べますか?
島田さん:実際の現場で活かせるよう、2級の対面講座では、実際の利用者や参加者の方々を想定した関わり方をメインに指導しています。
具体的には、楽しみながら活動に参加してもらうやり方や、利用者・参加者の方のモチベーションの上げ方、適切な声のかけ方などを習得可能です。
講座を受講される方の大半は、「自分たちが住んでいる地域の高齢者の方に何か恩返しをしたい」「職場で活かしたい」などの想いを抱えていらっしゃいます。
介護福祉士や理学療法士、看護師などの国家資格をお持ちの方にも多数ご受講いただいております。
過去には、プロの音楽家の方で、「演奏の間に何かレクリエーションをしたいから」というきっかけで受講されたケースもありました。

理学療法士の方から聞いたお話ですが、リハビリの時間になると利用者の方が逃げてしまう事例がよくあるそうなんです。
健康のために必要なリハビリだとわかっていても、利用者の方からするとしんどかったり辛かったりするのだと思います。
そこで、「楽しく継続するためにはどうしたらよいのか」と考え、音楽健康指導士という選択肢を選んでくださったそうです。
音楽健康指導士の魅力とは?短期間で学び、現場ですぐに活かせる

――音楽健康指導士の魅力や他の資格にはない強みなども教えてください。
島田さん:やはり、3日間という短期間で知識も実技も習得できるのは大きな魅力ではないでしょうか。
短期間で学んですぐに現場で活かせるのは、他の資格、特に国家資格にはない強みです。
たとえば、「高齢者の方にすぐにでもうたと音楽のチカラを伝えたい」「自分の父母や祖父母の健康に役立てたい」と考えて資格取得を目指す方の場合、資格取得に何年もかけていたら手遅れになってしまう可能性もありますよね。
「楽器が演奏できなくてもOK」なのも、他の資格との決定的な違いであり強みです。
楽器を演奏すると手がふさがってしまって身体を動かせなくなってしまいますし、利用者の方に迅速に対応しにくくなってしまう観点からも、楽器の演奏は一切必要としていません。
楽器を演奏する必要がなく、短期間で習得可能な音楽健康指導士なら、どなたでもトライしやすいでしょう。
大坪さん:受講生に書いてもらった受講後のアンケートでは「認定講師の教え方が素晴らしい」という声が多く見られ、そちらも魅力だと考えています。
これらの強みの結果、今現在、約19,400名ほどの方に資格を取得していただいています。
――認定講師である島田さんは、講座で指導する際に何を意識していらっしゃいますか?
島田さん:「一生懸命やる」ということですね。
介護の経験があるので、その時のことを思い出しながら「現場で働く方々に少しでも楽になってほしい」という想いで、丁寧に講座の指導に携わっています。
大坪理事長から「慣れてきた頃に指導が雑になりやすいから気を付けて」と言われたことを忘れずに、受講生一人ひとりの想いや受講の背景などを大切にするよう常に心がけています。
谷さん:島田先生をはじめ、認定講師の先生方は自分自身の経験に基づいて指導されているので、信憑性が高いんですよね。
2級講座の実践プログラムに関しても、よりリアルに受講生に伝わるため、受講生の方々がどんどん真剣に入り込んでいかれる印象です。
わかりやすくて学びのある講座だと自信を持っておすすめできるので、ぜひ少しでも多くの方に2級講座を受講していただきたいです。
メインの目的は、参加者の皆さんに楽しんでもらうこと、気持ちよくうたや音楽を体験してもらうことです。そのため、うたの技術はまったく関係がなく、むしろうたが苦手なほうが参加者の皆さんが自信をもって楽しんで参加しやすくなる場合もあります。
18歳以上であればどなたでも受講できるので、自信がない方も気にせずぜひ参加していただきたいです。福祉、介護、教育、健康などの現場でお困りの方はもちろん、これから現場で活躍予定の方も歓迎しています。
福祉・健康・教育現場で「今困っている」方や、「すぐに現場で活かせる知識や技術を習得したい」と考えている方にこそおすすめしたい資格ですね。
お話を聞いていて、協会の楽しそうな雰囲気、「受講生の役に立ちたい」という想いが活動の根底にあると感じました。島田先生の受講生に対する熱い想いや真摯な姿勢が気になった方は、ぜひ2級講座を受講してみてください!
※医療機関・介護施設などの事業者さまで受講をご検討中の場合は、厚生労働省の人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)や、キャリアアップ助成金を活用できます。
受講生の変化や印象的なエピソード
――講座を受講する前と後では、受講生の様子はどのように変化しましたか?島田さん:受講前と後ですごく変化される方が大勢いらっしゃいます。
たとえば、2級講座冒頭の1対1の自己紹介で緊張と不安で手を震わせながらお話されていた方が、講座終盤では大勢の前で堂々とお話をされていました。
講座内では、集団でさまざまな活動に取り組みます。
受講生みんなで学んでみんなで考え、みんなで乗り越える中で少しずつ自信をつけていくことが、結果的に成長や変化につながると考えています。
今はさまざまな学びでオンラインが主流となっていますが、対面でしか得られないものがあるのも事実です。
講座受講後はそれぞれ職場や生活の中で知識や技術を活用されているようで、中には、資格取得をきっかけに高齢者向けの地域サロンやデイサービスを開業された方もいました。
今後の展望と読者へのメッセージ

――今後はどのようにしてうたと音楽のチカラを広めていかれる予定でしょうか?
大坪さん:展望というか反省なのですが、「うたと音楽」の持つ健康効果をまだ全然広められていないと感じています。
今後は、SNSの投稿やショート動画などを通じて、さらに多くの方々にうたと音楽の持つチカラを普及させていく予定です。
準2級の講座(在宅での座学)も、時代に合わせて受講生の方々にとってよりよい形にしていきたいと考えています。
もっと入り口を広くし、多くの方々が気軽に学べる体制・仕組みを整えていきたいです。
誰に聞いても「うたと音楽」のチカラをみんな知っているくらいまで普及させるのが理想的ですね。
――最後に読者へメッセージをお願いできますか?
大坪さん:うたと音楽で共通する部分って、人の心を動かしたり躍らせたり、人と人とをつなげられる部分だと思うんです。
日本音楽健康協会では、エビデンスに基づいた知識や技術をともに学び、ともに発信していける仲間を募集しています。
仲間が増えればその地域や社会もどんどん明るくなっていくと信じているので、一人でも多くの方のお力をお貸しいただけたらうれしいです。
谷さん:学ぶ際には、必ず後ろ盾やサポートが必要だと思うんですね。
なぜかというと、後ろ盾があれば、正しく効率的に学びやすくなり、学ぶ上で発生する疑問も解消しやすくなるからです。
日本音楽健康協会では、しっかりとした科学的根拠に基づいて講座を提供しているので、安心して受講していただければと思います。
受講される方の中には、「本当に3日間で技術が身につくんですか?」と疑いながら来られる方もいます。
しかし、受講後はさまざまな技術を習得して納得して帰られていきます。
受講を迷われている方には、「ぜひご期待ください」とお伝えしたいです。
島田さん:私は講座の内容に強い自信を持っています。
私たちは、「うたと音楽」のチカラを心から信じて活動しています。
そのため、「受講してください」ではなく、「仲間になりませんか?」とお伝えしたいです。
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