「なんとなく不調が続いている」
そんな状態に、心当たりはありませんか。
病院で検査をしても大きな異常は見つからない。それでも、疲れが取れない、だるい、眠れない、気分が晴れない――。こうした不調を抱えながら、「どこに相談すればいいのかわからない」と感じている方は少なくありません。
東洋医学では、病気と診断されるほどではないものの、不調が現れている状態を「未病(みびょう)」と呼びます。未病は、病気ではないから放っておいていい状態ではなく、今のうちから身体と向き合い、整えていくことが大切な状態だと考えられています。
一般社団法人漢方未病教育振興協会は、この未病の考え方を軸に、漢方医学と養生の知恵を広める活動を行っている団体です。誰もが自分の身体の状態を理解し、日常生活の中でケアできるようになることを目指しています。
今回は、一般社団法人漢方未病教育振興協会 理事長の喜多敏明医師に、協会設立の背景から、一般の方向け無料講座「漢方未病養生塾」の特徴、そして未病を学ぶ意義についてお話を伺いました。
漢方未病教育振興協会とは|設立の背景と目指す理念

一般社団法人漢方未病教育振興協会 理事長 喜多敏明医師
――協会を立ち上げられたきっかけと、理念を教えてください。
喜多さん:私は東洋医学の専門医として、辻仲病院柏の葉にある「漢方未病治療センター」で、漢方による未病の治療を行う外来を担当しています。未病とは、病気と診断されるほどではないけれど、本人にとっては確かにつらい状態です。
漢方薬を使うことで症状が改善する患者さんも多いのですが、診療を続ける中で、漢方薬だけでは十分とは言えないケースもあると感じるようになりました。
体調が悪くなる背景には、食事、睡眠、運動、ストレス、考え方、生活リズムなど、さまざまな要因があります。
漢方薬は身体を整えるサポートになりますが、原因となっている生活や習慣そのものを変えなければ、どうしても同じ不調を繰り返してしまいます。
しかし、外来診療の限られた時間の中で、生活全体まで丁寧に伝えることは簡単ではありません。
そこで患者さん向けに講習会を始め、「なぜ体調が悪くなるのか」「どうすれば体調が悪くならないで済むのか」といった養生の考え方を伝えるようになりました。
これが現在の「漢方未病養生塾」の原点です。
さらにもう一つ大きな課題があります。未病で困っている方はとても多いのに、病院で検査しても異常が見つからず、どこに相談していいかわからない人がたくさんいるという現状です。
私はこの状況を「未病難民」と呼んでいます。
この未病難民をなくし、誰もが自分の身体の状態を理解し、必要なケアができるようになる。そして、誰もが健康で幸せに生きられる社会をつくりたい。その想いから協会を設立しました。
不調を抱えたまま悩まないために|漢方と養生を学べる社会へ
――不調を抱えた人が取り残されない社会とは、どのような姿なのでしょうか?喜多さん:私自身が診療で未病を診ることはできますが、それだけでは社会全体の課題は解決できません。
未病で困っている人は多いにもかかわらず、病院で「異常はありません」と言われたあと、相談先が見つからない状況に置かれている方もいます。これは、西洋医学では治療の対象にならない場合もあるためです。
では、地域の中で未病の人を本当に支えられるのは誰か。日常的に住民と接点があり、相談を受ける場所はどこか。そう考えると、薬局の存在が非常に重要になります。
病院で「病気ではない」と言われても、不調がつらければ薬局で相談する人は多い。だからこそ、薬剤師や登録販売者など、国家資格を持ち、漢方薬を扱える人たちが、漢方と未病の考え方を身につけ、現場で実践できるようになることが重要です。
そのため協会では、薬剤師や登録販売者などを対象に、漢方と未病の考え方を体系的に学べる「漢方未病専門資格認定講座」も開講しています。未病を理解し、現場で支援できる人材を育てていくことも、協会の大切な役割の一つです。
――最近は健康情報があふれていますが、先生はどのように感じていますか?
喜多さん:健康に関する情報が世の中に氾濫していて、多すぎるがゆえに、何を選んでいいかわからないという状況が起きています。
そうすると、人はどうしても分かりやすいものに流れやすくなります。ただ、分かりやすいものが必ずしも正しいとは限りません。
だからこそ、ヘルスリテラシー、つまり健康情報を自分で選び取る力を高める必要があると考えています。自分で判断できるようになることで、情報に振り回されにくくなります。
漢方や未病を学ぶことは、そのための土台づくりでもあるのです。
漢方未病養生塾とは?初心者でも学べる無料講座の内容

――「漢方未病養生塾」とは、どのような講座なのでしょうか?
喜多さん:「漢方未病養生塾」は、漢方・未病・養生を、仲間と一緒に楽しく学び、学んだことを日常生活に取り入れていく場です。
もともとは患者さん向けに始めた講座ですが、口コミや地域の広報などを通じて参加者が広がり、現在は現地とZoomを併用したハイブリッド形式で実施しています。漢方や未病、養生に興味があれば、どなたでも参加可能です。
漢方未病養生塾は全6回で一通り学べる構成になっており、次の6か月はまた違う内容を学べるように設計しています。扱うテーマは期によって変わりますが、いずれも日々の生活に取り入れやすい内容です。
そのため、継続して通ってくださる方も多くいらっしゃいます。
――漢方未病養生塾では「シェアタイム」を設けているそうですが、どのような時間なのでしょうか?
喜多さん:漢方未病養生塾では、講義の途中に複数回、4人1組で受講生同士が話し合うシェアタイムを設けています。自分の体調のことや、生活の中で意識していることなどを共有する時間です。
私の話を聞くことももちろん大切ですが、一番教育効果が高いのは、受講生同士の対話だと感じています。
人の話を聞いていると、「それなら自分にもできそうだな」「そういう考え方もあるんだな」と気づきが生まれます。
また、自分のことを言葉にして話すことで、頭の中が整理されていきます。「何がつらいのか」「何を変えたいのか」が、だんだんはっきりしてくるんですね。
だから漢方未病養生塾では、知識を一方的に伝えるだけではなく、自分で気づき、自分で考える時間をとても大事にしています。
また、養生塾では安心して話せる場づくりも大切にしています。塾の中で知った個人情報は外に出さないことをルールとし、「それは違う」「その考え方はおかしい」といった相手を否定する発言は控えるようお願いしています。お互いを尊重しながら、安心して対話できる環境を整えています。
――現地開催ならではの交流や雰囲気についても教えてください。
喜多さん:現地開催では、講義後に私と受講生が直接話せる時間を設けており、そこで質問や相談をしていただくことも多いですね。
全6回のうち2回は、終わったあとにお弁当を一緒に食べる食事会も行っています。現地参加者は30〜40名ほどで、回を重ねるうちに受講生同士の距離も自然と縮まっていきます。
「月1回来るのが楽しみ」と言ってくださる方もいて、学びと同時に、人とのつながりも感じられる場になっていると思います。
――漢方って難しそうというイメージがあったのですが、知識がない方でも参加して学べますか?
喜多さん:みなさん最初は同じスタートなので、心配はいりません。漢方や未病について何も知らない方でも理解できるよう、できるだけ分かりやすく説明しています。
一方で、漢方は初めての方には難しく感じる部分もあるため、これまで患者さん向けに行ってきた講義をもとにした事前学習動画を用意しています。事前に動画を視聴したうえで本番の講義に参加していただくことで、「こういうことか」と理解が深まりやすくなります。
また、専用の質問フォームを設けており、寄せられた質問にはオープンチャット上で回答を共有しています。誰が質問したか分からない形で回答するため、「こんなことを聞いても大丈夫かな」と迷うことなく、安心して質問できる環境です。
漢方・未病を学ぶことで人生はどう変わるのか|教育にかける想い
漢方未病養生塾 講義の様子
――漢方未病養生塾の講義を、先生ご自身で担当されている背景や想いを教えてください。
喜多さん:私は今、自分の時間を大きく二つに分けていて、半分は病院での外来診療、もう半分は教育にあてています。診療と同じくらい、教育の時間も大切にしているのです。
漢方未病養生塾の講義も、基本的にすべて私自身が担当しています。今のところ、誰かに代わってもらうという考えはありません。というのも、私がやりたい教育は、単に漢方の知識を教えることではなく、漢方・未病・養生の「考え方」を学んでもらうことだからです。
学ぶことを通して、その人の意識や考え方が変わる。意識や考え方が変わると、行動が変わる。行動が変わると、人生が変わっていきます。
一時的に頑張るだけでは、健康づくりは続きません。意識や考え方が変わらなければ、結局また元に戻ってしまいます。だからこそ私は、受講生の意識が変わるような関わり方を、とても大切にしています。
――実際に、受講生にはどんな変化がありますか?
喜多さん:一番大きいのは、考え方が変わっていくことです。
最初は、「体調が悪いからできない」「忙しいから無理」「家庭の状況が……」と話す方も少なくありません。ところが学びを重ねていくと、「じゃあ、どうすればできるだろう?」と考えるようになります。
いきなり完璧な生活に変える必要はなく、まずは一つ、小さなことからやってみる。うまくいけば続け、うまくいかなければ別の方法を試してみる。そうした繰り返しです。
その結果、「自分で自分の身体をコントロールできている」という実感を持つ方が増えていきます。
漢方未病を学ぶことで、誰もが自分の身体と向き合える社会へ
漢方未病養生塾 講義の様子
――一般社団法人漢方未病教育振興協会として、どのような社会の実現を目指して活動されているのでしょうか?
喜多さん:一般社団法人漢方未病教育振興協会としては、漢方未病の考え方を学べる仕組みを広げることで、誰もが健康で幸せに生きられる社会の実現を目指しています。
病気の治療の目的は、「病気を治すこと」と比較的明確です。一方で、未病を治す目的は「健康になること」ですが、健康になるという状態は、実はとても漠然としています。
健康は目に見えないため、どうしても対症療法に頼りやすくなります。痛みがあれば痛み止め、だるさがあれば栄養ドリンクやビタミン剤、といった対応になりがちです。
だからこそ、健康そのものを目的にするのではなく、「幸せに生きること」を目的にしたほうがよいと考えています。何のために健康になるのかといえば、幸せに生きていくためなんですよね。
そしてもう一つ、私たちが目指しているのは、未病で困る人がいない社会です。
体調が悪くなったときに、「とりあえず病院に行く」で終わるのではなく、「これは未病かもしれない」と考えられる。
さらに、「自分の生活の何を見直せばいいのか」と次の一歩が思い浮かぶ。近くの薬局や専門家に相談すれば、未病の考え方を理解した人が対応してくれる。
一般の方に未病の考え方が広まることと同時に、未病を理解して支援できる専門家を増やしていく。その両方を進めていくことが、協会の役割だと考えています。
――受講を検討している方へメッセージをお願いします。
喜多さん:学びは、まず自分のためになります。
自分の身体のことが分かるようになる。自分で選択できるようになる。それだけで、生きやすさは大きく変わります。
そして、それは家族のためにもなります。食事をつくる人が漢方や養生の知恵を学び、日々の食事に活かせるようになることは、家族全体の健康にもつながります。
食生活が整えば、心身の状態も整いやすくなります。
だからこそ、自分が健康になりたい人、家族に健康になってほしい人、周りの友人や仲間の健康を支えたい人に、ぜひ受けていただきたいです。
無料講座「漢方未病養生塾」の概要

| 講座名 | 漢方未病養生塾 |
| 場所 | 千葉県野田市ならびにZoomのハイブリッド形式 |
| 期間 | 公式サイトよりご確認ください。 |
| 参加費 | 無料 |
| 学習形式 |
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半年後に得られるもの |
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| ご参加にあたって |
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無料講座「漢方未病養生塾」は漢方・未病・養生を仲間と一緒に楽しく学び、学んだことや気づきを日常生活に取り入れて「本当に健康で幸せに生きていく」ための学びの場です。
各回は、事前学習動画で予習(推奨)→講義→4人1組のシェアタイム(自己開示と他者受容を原則)→質問時間という流れで理解を深めます。
講座外でも、参加者限定のLINEオープンチャットで感想共有や、専用フォームでの質問が可能です。
