キャビンから出たあとの感覚を、利用者の中には「まるで生き返ったよう」「本当の意味で整う」と表現する人もいるそうです。
クライオセラピー®は日本でも徐々に導入が進み、現在の導入施設は全国約15〜20か所*とのこと。
一般財団法人日本クライオ療法推進協会では、クライオセラピー®の普及に加え、正しい知識や技術を身につけた人材の育成にも力を入れています。認定資格を取得し、既存のサロンや施設で活躍するほか、将来的な開業を目指すことも可能です。
今回は、同協会の代表理事・渡久地聡美(とぐちさとみ)さんに、クライオセラピー®との出会いや特徴、資格・講座の内容、今後の展望まで詳しく伺いました。

一般財団法人日本クライオ療法推進協会 代表理事 渡久地聡美氏
ボクシングジムから始まった、リカバリーの探求
――一般財団法人日本クライオ療法推進協会を立ち上げた背景を教えてください。渡久地さん:もともと、35年ほどプロボクシングの世界に携わっており、2001年に当時の夫とプロボクシングジムを立ち上げました。
試合に向けた減量や、練習・試合中のけがからの回復を支える方法を、ずっと探し続けていました。
サプリメントをはじめ、国内のありとあらゆるものを試しましたね。ただ、タイトルマッチともなればドーピングは禁止です。ナチュラルにできるリカバリーには、限界がありました。
――そこから、どのようにクライオセラピー®と出会ったのでしょうか。
渡久地さん:きっかけは、15年前のロサンゼルスでのキャンプです。中量級の選手のスパーリングは激しくて、ボロボロになっていきます。
ところが、相手の選手は毎日怪我やダメージを整えて帰ってくるのです。そこで、現地のリカバリー法を追いかけ始めました。
そのなかで、当時のチャンピオンだったフロイド・メイウェザー選手がクライオセラピー®を受けていると知り、うちの選手にも試しました。
――最初は選手のためだったのですね。
渡久地さん:はい。ただ、私自身も試してみると、とても大きな意味があることに気づいたんです。
というのも、20年前に離婚して、36歳で3人の子どもを抱えるシングルマザーになりました。元夫は体調を崩して療養のため地元の沖縄へ帰り、残されたジムと子どもたちを一人で背負うことになったのです。
ボクサーではない私ができることは、リカバリーや食事のプロになることです。そして何より、自分が倒れるわけにはいきません。
健康である責任を痛感していた時期だったので、私もクライオセラピー®を受けました。私自身は、クライオセラピー®を続けるなかで、以前より健康への自信を持てるようになりましたね。
――日本で始めるまでには、どんな道のりがあったのでしょうか。
渡久地さん:当時、日本にはクライオセラピー®がなかったので、アメリカへ年に数回渡航して受けていました。いざ日本でやろうとしたとき、惚れ込んだアメリカのメーカーからは「アジアには卸さない」と門前払いを受けたんです。
それでも諦めきれずにいたところ、サラヤ株式会社さんが2017年3月に国産の「CRYOシャワー」を発売され、すぐにオフィスへ伺って購入しました。
その後2017年12月、麻布十番に「℃RYO TOKYO(クライオトウキョウ)」をオープンしたんです。ボタン1つで、人を雇わずに質の高いリカバリーを提供することが、当時の私には精一杯のスタートでした。

2024年1月11日、麻布十番の2店舗目「CRYO TOKYO NEO」に導入した最新型クライオアイスサウナ
――そこから半年後に協会を設立されたのですね。
渡久地さん:オープン後、メディアからの取材が殺到しましたが、当初は罰ゲームのような扱いをされることもありました。
「正しい方法で、正しくクライオセラピー®を広めたい」「アメリカのように、日本のあちこちで当たり前にリカバリーができる環境をつくりたい」
そして、「時間が足りない経営者や、マッサージの1時間さえ取れない育児中の人にも、たった3分でできることを伝えたい」
その一心で、2018年6月に協会を立ち上げました。
資格を取得した方が、クライオを導入しているサロンなどで活躍できる環境をつくりたかったんです。
濡れずに3分。リカバリーから美容まで広がるクライオセラピー®
――一般的なアイシングや冷却ケアとは、何が違うのでしょうか。渡久地さん:冷水に身体を浸す方法には、浴槽に氷を入れた「アイスバス」や、専用設備などを使う「コールドプランジ 」があります。
私自身、アイスバスは冷たさがつらく、5分ももちませんでした。また、冷水浴では身体全体が冷えるため、私自身は実施後に体温が戻るまで時間がかかると感じていました。
一方、クライオセラピー®は液体窒素を使い、-180℃前後の冷気を身体にまといます。身体が濡れないので快適に受けられますし、朝でも昼でも夜でも、いつでも時短でできます。

――クライオセラピー®では、身体の内側は冷えないのですか。
渡久地さん:クライオセラピー®では、超低温の冷気に身体をさらします。表面を冷却する施術なので、冷水浴とは冷え方が異なります。
利用された方からは「気持ちいい」「冬の寒さのほうがつらい」といった声も聞かれます。
――スポーツや健康だけでなく、美容目的で利用される方もいるそうですね。
渡久地さん:はい。美容を目的に利用される方もいらっしゃいます。
たとえば、日焼け後の肌のコンディションを整えたい方や、むくみやボディラインが気になる方などです。
継続して利用されている方からは、「肌の調子がよくなった」「身体のラインがすっきりしたように感じる」といった声をいただくこともあります。
カナダやヨーロッパ、アメリカでは美容やウェルネス分野で活用されていて、クリニックなどに導入されている例もあります。
ライバルがほとんどいない、希少な資格
――認定講座は、それぞれどのような方に向いていますか。渡久地さん:入り口として受講する方が一番多いのは「C級(クライオスポット)」です。フェイシャルや頭皮ケアなど、部分的に冷却するスポットの施術を扱える資格で、鍼灸院やクリニック、美容院で取り入れられています。
「B級(アイスサウナ)」は、全身を冷却するボディの施術と、部分的なスポットの施術の両方を扱えるようになる講座です。
「A級(エキスパート)」は、サロンを構えている方や、セミナーの講師を担っていただきたいレベルの方に、協会から特別にお渡しする資格です。
――「クライオスキン®セミナー」は、どのようなものでしょうか。
渡久地さん:「凍結アイロン」と呼ばれる機器で肌を冷却する、「クライオスキン®」の技術を習得できるセミナーです。
美容医療には、熱エネルギーを利用する施術がありますよね。クライオスキン®はその真逆のイメージです。

――クライオスキン®は、どのような目的で利用されているのでしょうか。
渡久地さん:フェイスラインやボディラインなど、美容面のケアを目的に利用される方が多いですね。
冷却を利用した美容施術で、切開や注射、薬剤の注入を伴わない点が特徴です。痛みを感じにくいという声もあり、施術中に眠ってしまう方もいるそうです。
施術は週1回、5回で1クールです。最近では、女性はお尻、男性は顎下やお腹の施術が大人気ですね。
アメリカでは専門のセラピストを指名して予約するほどの人気メニューですが、日本ではセラピストが足りず、施術可能な場所が2か所のみです。
――講座費用は決して安くはない印象ですが、資格を取るとどのような活躍の場が広がりますか。
渡久地さん:アメリカでは、1講座7,000ドルほどかかるセミナーです。それを日本向けに、できるかぎり抑えた価格にしています。
セミナーの中には自身の施術代がすべて含まれていて、受講しながらご自身もトリートメントを受けられます。受講された方からは「なぜこの価格なのか理解できました」という声をたくさんいただいています。
セミナーを受けながら、ご自身でも施術を体験できます。資格を取ればそのままサロンで勤めることもできますし、これから開業しようとしているところへのご案内もしています。
ホテルや立派なスパのような場所ではクライオを扱えるセラピストさんがいなくて困っているケースもあります。ですから、今後広がっていく分野だと感じます。
そして何より、ライバルがほとんどいない。資格を持っていてもあぶれてしまう業界が多いなかで、これはとても大きな希少価値だと思います。

正しい知識と技術を伝えることを大切にする協会の講義の様子。
独占販売権を持つ協会だからできるサポート
――クライオキャビンの販売・購入サポートまで一貫して行っている理由を教えてください。渡久地さん:私にとって、一番大事なのは「頑丈であること」でした。「クライオの機械ならどれも同じでしょう」と思って開業し、後から「買い替えたい」と相談に来られる方がたくさんいたんです。
機械によって燃費は4倍ほど違うので、利益にも大きな差が出ます。意を決して投資したのに一からやり直しになれば、熱意が折れてしまう。そうした失敗を防ぎたい思いから、私が見極めた機械を扱うことにしました。
――現在はアメリカ製の機械を扱っているそうですね。
渡久地さん:国産の機器からスタートし、その後ヨーロッパ製なども実際に使用しながら、より自分たちが納得できる機器を探し続けてきました。
開業後も何度もアメリカへ足を運び、メーカーとの関係を築いてきた結果、現在扱っている機器の販売に関する契約を結ぶことができました。

アメリカ製の最新型アイスサウナ
――導入後のサポートについても教えてください。
渡久地さん:導入時にはセミナーを行い、機器には1年間の保証を付けています。保証期間が終わる前にはこちらからご連絡して、無償で点検に伺います。
その際に、セラピストさんの技術や運用状況も確認し、必要に応じて追加のセミナーを実施しています。
人生は出会い。身を置く業界で未来が変わる
――受講生は、どのような理由で講座を選ぶ方が多いですか。渡久地さん:最新の健康・美容分野としてクライオを知り、どういうものか学びたいと入ってこられる方が多いですね。開業したいけれど勇気が出ない、融資を受けるのが怖い、でもいざというときのために資格を取っておきたい方もいます。ただ、大半は最初から開業すると決めて、しっかり学びたい方です。
私はよく「まずはセミナーでクライオがどんなものか学ぶだけでも、日々の向き合い方が変わるから」とお伝えします。始めは不安な様子で受けに来た方も、受講を終えると「もっと上のクラスも受けたい」と前向きになっていくんですよ。

冷却の仕組みから施術の注意点まで、クライオセラピーの正しい知識をしっかり学ぶ。
――開業後は、みなさん、どのように変化されますか。
渡久地さん:人生は出会いです。身を置く業界によって、出会う人も変わります。来店されるお客様の中には、経済界のトップの方や、健康を大切にしている著名人がいらっしゃいます。今までの環境とはがらりと変わるんですよ。
健康への意識が高いお客様ばかりなので、自然と自分の生活も整っていく。「ストレスなく働ける」と喜んでいる女性セラピストさんがたくさんいます。
健康・美容・知識・資格。4本柱が手に入る学び
――今感じている課題はありますか。渡久地さん:私自身、クライオセラピー®に携わるなかで、「身体を冷やしてはいけない」という従来のイメージとは異なる冷却の考え方があることを知りました。
クライオセラピー®は身体を冷水に浸すのではなく、超低温の冷気を短時間利用するものです。その違いも含めて、冷却について正しく知っていただきたいと思っています。
今はまだ導入施設が港区に集中していますが、日本のどこにいても時短でリカバリーができる。そんな未来をつくっていきたいですね。

日本最大級のスポーツ・健康産業展示会「SPORTEC」の初の海外開催に出展。アジア市場から注目を集めた。
――最後に、学びを始めるか迷っている方へメッセージをお願いします。
渡久地さん:始める前は、料金が高いと思うかもしれません。もちろん、人生にとってお金も大切ですが、一番大事なのは健康です。
「最先端の健康・美容分野の技術に関わってみたい」と思ったら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
――本日は、貴重なお話をありがとうございました。
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