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今回お話を伺った方
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Teasmile代表
中込 美帆氏化粧品会社での商品企画を経て紅茶の世界へ。2011年より講座を開講し、2021年に協会を設立。資格講座や茶園研修、コミュニティづくりを通じて、お茶文化の普及に取り組んでいる。
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日本ティーアナリスト協会は、「人とお茶をつなぐ」という理念のもと、紅茶・日本茶を体系的に学べる資格制度「ティーアナリスト®︎」を運営する団体です。美味しさや奥深さを学び、日常の中でお茶を楽しむ人・その魅力を伝える人の育成を目指し、学びとつながりの場を提供しています。
今回は、日本ティーアナリスト協会の代表・中込美帆さんに、紅茶との出会いから協会設立の背景、ティーアナリスト®︎資格の特徴、そしてコミュニティの広がりまでを伺いました。紅茶や日本茶を「飲む楽しみ」から「学ぶ楽しみ」に深めたい方のヒントになれば幸いです。
日本ティーアナリスト協会とは|“人とお茶をつなぐ”理念を掲げる資格団体
出典:日本ティーアナリスト協会日本ティーアナリスト協会は、紅茶・日本茶を「飲み物」としてだけでなく、人と人、人と文化、生産者と飲み手をつなぐ存在として広めていくための学びと活動の場です。
資格講座だけでなく、茶園研修や講演イベント、無料講座、会報「ティーアナリスト通信」などを通じて、学びを深められる機会を継続的に提供しています。資格取得後もブラッシュアップ講座やイベント参加のチャンスがあり、学んだ先に実践や交流が広がる環境が整っているのも特徴です。
お茶をきっかけに世界が広がり、その学びが次の誰かに受け継がれていく。そんな循環を大切に活動している協会です。
今回は日本ティーアナリスト協会の魅力や強みについて、代表の中込美帆さんにお話を伺いました。
紅茶との出会いから、「伝える」活動へ

日本ティーアナリスト協会代表 中込美帆さん
——中込さんご自身が、紅茶を学び始めたきっかけを教えてください。
中込さん:紅茶教室に通い始めたのは、子どもが幼稚園に入って、少し自分の時間が持てるようになった頃でした。最初は、「紅茶をおいしく淹れられるようになりたい」という、ほんの軽い気持ちだったのです。
でも、実際に学び始めてみると、紅茶はただの飲み物ではなく、世界中で親しまれている“文化”そのものだと気づきました。産地ごとの歴史や背景を知るうちに、各国の暮らしや文化、さらには洋食器や絵画といった分野にも、自然と興味が広がっていったのです。
紅茶を通して、行ったことのない国に旅をしたような気持ちになったり、これまで関心のなかった国のニュースに思わず耳を傾けるようになったりと、自分の世界がどんどん広がっていく感覚がありました。
「紅茶を学ぶことで、人生ってこんなに豊かになるんだな」と実感したのは、紅茶を学ぶ大きなきっかけのひとつですね。
中込さん:紅茶を学ぶことで自分の世界が広がり、日常が豊かになっていく実感があったからこそ、「この体験を自分だけのものにしておくのはもったいない」と思うようになりました。
誰かに伝えることで、その人の人生も少し豊かになるかもしれない。そんな気持ちが、自然と芽生えていったんです。
そこで、個人で紅茶教室「TEASMILE」を立ち上げ、学んだことを少しずつお伝えするようになりました。ありがたいことに受講してくださる方が増え、学びをさらに深めたい方や、同じように「伝える側」を目指す方も現れるようになっていきました。
一方で、「個人の教室」という枠組みだけでは、支えきれない部分が出てきたことも事実です。紅茶の魅力をもっと広く、そして長く伝えていくためには、学ぶ人・伝える人が安心して関われる環境や仕組みが必要だと感じるようになりました。
そうした想いが重なり、紅茶や日本茶を通して人と人、人と文化をつなぐ学びの場として、日本ティーアナリスト協会を立ち上げることになったのです。
「人とお茶をつなぐ」に込めた協会の理念

——協会の理念である「人とお茶をつなぐ」には、どんな想いが込められていますか?
中込さん:「人とお茶をつなぐ」という理念には、大きく二つの意味があります。
一つ目は、お茶の世界と人をつなぐということです。
紅茶を学ぶことは、単においしく淹れる技術を身につけることだけではありません。学びを深めていく中で、世界中の国や歴史、文化に自然と触れるようにもなります。
紅茶を通して自分の世界が広がり、人生がより豊かになっていく。そんなお茶の世界と人をつなぎたいという想いがあります。
もう一つは、生産者とのつながりです。国産紅茶が注目され、日本茶の知識も広がる中で、実際にお茶を作っている生産者と、お茶を楽しむ人をしっかりとつないでいきたいと考えています。
日本の場合、自分がその気になれば茶畑に足を運び、生産者の方に直接会えます。実際に茶畑を見たり、そこで働く方の話を聞いたりすると、お茶一つひとつに込められた思いや背景が、よりはっきりと見えてくるのです。
こうした「お茶の世界と人」、そして「生産者と飲み手」をつなぐことが、日本ティーアナリスト協会の理念に込められています。
紅茶・日本茶を体系的に学ぶ、ティーアナリスト®︎資格と講座の特徴

アフタヌーンティー交流会の様子
——ティーアナリスト®︎講座(紅茶・日本茶)には、どんな特徴がありますか?
中込さん:ティーアナリスト®︎講座は、紅茶・日本茶ともに「お茶を正しく理解し、自分の言葉で伝えられるようになること」を大切にしています。
まず、ジュニアティーアナリスト®︎は、紅茶の基本的な淹れ方と、紅茶業界でセオリーとされている基礎知識を学ぶ入門資格です。全12講座を通して、紅茶に関する基礎を体系的に学べるカリキュラムで、紅茶に興味を持った方が、最初の一歩として学びやすい資格ですね。
一方、プロフェッショナルティーアナリスト®︎は、教室運営など発信側に行きたい方や、ジュニアティーアナリストで学んだ内容をしっかり定着させたい方を対象としています。
茶液を飲んで産地を当てるテイスティングや筆記試験など、努力が必要な内容も含まれており、自分の理解度を確認しながら学びを深めていく資格です。
また、人に伝える際のマナーや、コンテンツの作り方なども学びます。資格取得者は認定講師として講座を開設できますが、実際には「知識をより深く身につけたい」「知識に自信を持ちたい」という目的で受講される方も多い印象です。
日本茶ティーアナリスト®︎講座は、紅茶のアナリスト資格の考え方を日本茶に応用したものです。煎茶・ほうじ茶・品種茶・玉露・抹茶の5講座を通して、日本茶の基本的な淹れ方と基礎知識を学びます。
さらに、日本茶ティーアナリスト®︎資格を取得された方の次のステップとして、日本茶プロフェッショナル講座も用意しています。この講座は、日本茶アナリスト取得後に日本茶講座を開催したい方や、これまで学んだ内容を改めて整理・復習したい方を対象としたものです。
——日本ティーアナリスト協会の講座は、すべて対面とオンラインの両方で受講できるそうですが、それぞれどんな魅力があり、どんな方に向いていますか?
中込さん:受講方法によって、学び方の良さがそれぞれ違うのが特徴です。
オンライン講座の魅力は、対面講座と同じ教材を事前にご自宅へお送りし、講師と一緒に実際にお茶を淹れながら学べる点です。最大3人までの少人数制で行っているため、講師との距離が近く、対話を重視した学びができます。
教室が近くにない方や、子育て・介護などで外出が難しい方、自分のペースで学びたい方には、オンライン講座が向いていると思います。海外在住の方が受講されることもありますね。
一方、対面講座の魅力は、その場でしか得られない体験があることです。同じ茶葉・同じ分量・同じ手順でも、淹れる人やわずかな動作の違いで味が変わります。その変化を飲み比べながら共有できるのは、他の受講者と一緒に学ぶからこそ。自然と会話が生まれ、学びが楽しい時間に変わります。
また、自分では選ばないような組み合わせのブレンドティーに出会えたり、講師の所作を間近で見ながら、お湯の注ぎ方・ポットの傾け方といった細やかな動きを体感できるのも対面ならではの学びです。
どちらが良い・悪いではなく、ご自身のライフスタイルや学び方に合わせて選んでいただけるようにしています。
学びを広げ、つなげていく協会の活動とコミュニティ
——協会として、特に力を入れている活動を教えてください。中込さん:大きく分けて、二つあります。
一つは、年に2回実施しているイベント講座です。オンラインでティールームの運営者や生産者、企業関係者など、お茶業界で活躍されている方のお話を聞ける機会を設けています。
単に知識を学ぶだけでなく、その方の人柄や歩んできた道のりに触れられるのも魅力です。対面講座は距離や都合で参加が難しい方もいるため、オンラインだからこそ参加しやすい場として、大切にしている取り組みです。
もう一つが、茶園研修です。参加人数には限りがありますが、実際に茶園へ足を運び、生産者の方の声を直接聞くことは学びにおいて大切だと考えています。
現地の空気を感じながら味わうお茶は特別で、紅茶づくり体験などを通して生産者との距離がぐっと縮まり、「このお茶を応援したい」という気持ちが自然と生まれるのも印象的です。
こうした活動を通して、学んだ知識が頭の中だけで終わらず、人とのつながりや実体験として積み重なっていくことを大切にしています。
——コミュニティづくりも重視されていますよね。
中込さん:そうですね。協会としては、会員の方が主体的に企画・活動し、それを協会がサポートするという流れを、これからさらに強化していきたいと考えています。
実際に、協会サポートのもと、会員有志で「紅茶屋さん」としてアイスティーの屋台を出店するなどの取り組みも増えてきました。

「紅茶屋さん」出店の様子
また、会員同士の交流や情報共有を促すために、会員専用のLINEオープンチャットも設けています。資格の有無に関わらず、会員であれば参加でき、企画の告知やお茶に関する情報共有が行われる場となっております。
そこから自然とコラボレーションが生まれ、新しい活動につながることも。
さらに、ティーアナリスト資格保持者は、イベントスタッフとして活動に参加したり、ブラッシュアップ講座でスキルを磨く機会もあり、学んだ知識を実践に活かしやすい環境が整っているのも特徴です。
お茶を学ぶことが、人生を豊かにするきっかけに
日本ティーアナリスト協会は、紅茶や日本茶の知識を学ぶだけでなく、人と人、生産者と飲み手、学びと実践をつなぐ場として活動しています。お茶を学ぶことで世界が広がり、誰かの想いに触れ、また次の誰かとつながっていく。その一杯のお茶が、日常の中でふと立ち止まり、自分の時間を味わうきっかけになることもあります。
紅茶や日本茶が好きという気持ちを出発点に、学びを深めたい人も、いつか誰かに伝えてみたい人も。日本ティーアナリスト協会は、それぞれのペースでお茶と向き合える場所だと感じました。