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公益社団法人 日本家庭園芸普及協会が伝える、花と緑のある暮らし|全国1万人以上が活躍する「グリーンアドバイザー」とは

公益社団法人 日本家庭園芸普及協会が伝える、花と緑のある暮らし|全国1万人以上が活躍する「グリーンアドバイザー」とは
  • 今回お話を伺った方
    • 公益社団法人 日本家庭園芸普及協会 事務局長

      金子 明弘氏

      家庭園芸の普及という公益目的事業の趣旨に賛同し、その活動に関わる多数の会員企業のメンバーや、同協会が資格認定しているグリーンアドバイザー資格登録者に対して、事務局として様々な運営面のサポートを行っている。

家庭菜園を始めたいけれど、やり方が分からない。ガーデニングって難しそう。植物は好きでも、水やりのタイミングや肥料の選び方、病気の対処法など、分からないことが多くて諦めた経験がある方も多いのではないでしょうか。

1988年に設立された公益社団法人 日本家庭園芸普及協会は、現在、正会員111社が加盟しており、「暮らしと社会に花と緑の力を広める」という理念のもと、さまざまな活動を行っている団体です。「グリーンアドバイザー」資格制度の運営のほか、震災復興支援、子どもたちへの園芸教育、独自の「たねダンゴ」普及活動など、その活動は多岐にわたっています。

今回は同協会 事務局長の金子 明弘さんに、設立の背景から資格の魅力、そして花と緑が持つ力についてお話を伺いました。
公益社団法人 日本家庭園芸普及協会 公式サイトへ

花と緑に触れ合う機会を広げるために

——公益社団法人 日本家庭園芸普及協会を立ち上げられた背景や、大切にされている理念を教えていただけますか?

金子さん:家庭園芸に関わる企業が集まり、「もっと家庭園芸を普及させていこう」という共通の想いから公益社団法人 日本家庭園芸普及協会がスタートしました。この想いに賛同する企業が一体となって設立しています。

理念は、公益社団法人 日本家庭園芸普及協会の設立趣旨としてホームページにも記載していますが、一言で言うと、「花と緑は潤いのある生活習慣を形成する上で必要なもの」という考えです。

より多くの方に花と緑に触れ合う機会を届けていきたい想いが根本にあります。

——「家庭園芸」ということは、特にご自宅での楽しみを大切にされているのでしょうか?

金子さん:まずは、ご自宅で楽しんでいただくのが一番ですね。それ以外にも、ボランティアの方々による地域の公共花壇での活動や学校・幼稚園・保育園でのイベントに対する支援、オフィスや商業空間の緑化など様々な場面で役立つような情報提供なども行っています。

小さなお子さんに花と緑に親しんでいただくことも、大切な活動の一つです。

小学生に草花のことを説明している画像

子どもたちに花と緑の魅力を伝える活動も積極的に行っています。

被災地に花を——笑顔がつなぐ震災復興支援

復興支援活動の様子

復興支援活動の様子


——震災復興支援の活動も積極的にされているそうですね?

金子さん:東日本大震災をはじめ、熊本地震、能登半島地震の被災地に花と緑を届けました。仮設住宅などで、住民の方々が楽しんでいただけるようなイベントも行っています。

東日本大震災の際は、10年間にわたり春と秋年2回、現地に花を届けました。

復興支援の様子

——継続して支援されることへのこだわりはありますか?

金子さん:できる限り長くという思いで、現地の状況や復興の進み具合を見ながら支援を続けました。身の回りに花や緑があることが、慣れない環境で暮らすストレスを緩和し、住民の方同士が触れ合うきっかけになると考えています。

心の復興を支えるという意味でも、継続して関わることが大切だと考えました。現地を訪れると、みなさんに非常に喜んでいただけていると感じます。

復興支援の様子

「何かしたい」という想いが生んだ、たねダンゴ


——公益社団法人 日本家庭園芸普及協会が推進されている「たねダンゴ」について教えていただけますか?

金子さん:たねダンゴは、泥で作ったお団子に花の種を練り付けて、花壇やプランターに植え付けていく種まきの手法です。

最初に泥団子を作るので、小さなお子さんも遊び感覚で楽しめて、特に小学校や幼稚園での普及活動が好評ですね。


——たねダンゴが生まれたきっかけを教えていただけますか?

金子さん:公益社団法人 日本家庭園芸普及協会で積極的に始めたきっかけは、東日本大震災です。岩手県のグリーンアドバイザーの女性が、仮設住宅で生活している幼稚園児たちと一緒に花を植える活動をしたいと思いつきました。

幼稚園児には小さな種を扱うのが難しかったので「泥で団子を作って植え付けたらどうか」とひらめいたのが始まりです。

その報告が協会に届き、花の品種選びや肥料にもこだわりブラッシュアップを重ねて、独自のレシピが完成しました。

子どもたちがたねダンゴを作る画像

たねダンゴづくりを楽しむ子どもたち


——たねダンゴならではのメリットはどんなところにありますか?

金子さん:種類にもよりますが、種の中には非常に小さくて扱いづらいものもありますし、雨や風で流れてしまうこともあるので、うまく発芽しないこともあるんですよね。

泥団子に練り付けることで種が飛んだり流されたりしにくくなり、花が咲く確率が上がります。

花をきちんと咲かせる成功体験が得られることは、特に園芸初心者にとってはとても大切なことです。

また、金柑(きんかん)くらいの大きさのお団子なので球根感覚で扱えて、小さなお子さんでも簡単に植え付けができます。

何より、たねダンゴづくりそのものが、子どもからお年寄りまで世代を超えて一緒に楽しめるコミュニケーション・ツールであることが最大の魅力です。



現在はグリーンアドバイザーを対象とした「たねダンゴ指導員」という資格も設け、全国各地でセミナーを開催しています。そして、各地のグリーンアドバイザーがたねダンゴの作り方を学び、各地域でたねダンゴの魅力を広めています。


たねダンゴイベント時の写真の画像

「家庭園芸の専門家」グリーンアドバイザーという資格

——グリーンアドバイザーは他の園芸・植物関連の資格とどのように違うのでしょうか?

金子さん:公益社団法人 日本家庭園芸普及協会としてはグリーンアドバイザーを「家庭園芸の普及の最前線に立って指導できる方に対して認定する資格」という位置づけとして考えております。

グリーンアドバイザーは、草花から庭木、家庭菜園の野菜まで、幅広い植物知識が求められます。

育て方だけでなく、土・肥料・薬剤に関する知識、デザインや管理法、さらには生物学的な背景まで、かなり広範囲にわたって学ぶ資格です。どんな質問にも答えられる仕事を目指す人たちに、必要とされている資格だと感じます。

グリーンアドバイザーになろうの画像

——どのような方が受験されることが多いですか?

金子さん:資格取得者の約半数が、園芸店・ホームセンター・ガーデンセンターなど、園芸の小売業で接客を担当するスタッフです。お客様の相談に答えることが日常業務ですから、広い知識が必要になります。

園芸相談の様子

園芸相談の様子


そうした園芸関連企業では、幅広いカリキュラムを集中的に学べることが高く評価され、社員教育の一環として導入しているケースも多いです。

それ以外にも、フリーで園芸相談や園芸講師をされている方、趣味として植物を育てながら「基本からちゃんと学び直したい」という方、さらには小学生の合格者も出るなど、年齢も目的も幅広いですね。

現在、全国で約1万1,000名のグリーンアドバイザーが活躍しています。

 定年後の楽しみから、身近な趣味へ広がった園芸

——受験制度について教えていただけますか?

金子さん:以前はリアルの会場で2日間(9時〜17時)の講習を受けた後に試験を受ける形でしたが、コロナ禍をきっかけにオンライン化を図りました。

今は動画(全約12時間)とテキストによって学習していただき、試験はCBT方式(会場に備え付けのパソコンを使って受験する形)になっています。

試験会場は全国に340カ所以上あり、9月1日~30日の間の都合がよい日程と場所を自分で選んで受けられます。試験は80問(三者択一方式が40問、マルバツが40問)、60分です。実技試験はなく、知識を体系的に身につけることを重視しています。

グリーンアドバイザーのメリットを表す画像

——コロナ禍は、協会の活動にも影響を与えましたか?

金子さん:大きく変わりました。園芸はどうしても手をかけないと成り立たない趣味です。以前は通勤や休日のレジャーで時間が取れず、「定年後に始める趣味」という印象でした。

ところがコロナ禍で家にいる時間が長くなったことをきっかけに、本格的に園芸を始めようと思われる方が非常に増えたんです実は園芸を趣味にしたい方が、世の中にはたくさんいたんだと実感しました。

グリーンアドバイザーという資格自体も、園芸店やホームセンターのプロスタッフが取るものから、趣味として植物を楽しむ一般の方にも広く親しまれる資格へと変わりました。

そのタイミングで、より一般の方にも親しみやすい試験制度への改革も行い、コロナ直後から受験者数も大きく増えたと感じています。

——オンライン化で、変わったことはありますか?

金子さん:利便性は大きく上がりました。以前は会場から遠い方にはハードルが高かったのですが、今は最寄りの会場を選べますし、講習動画は何度でも繰り返し視聴できます。

一方で、昔はリアルで講師に直接質問できる良さがあったので、そこは現在の課題の一つだと感じます。受講者が質問できる環境づくりに、今後は取り組んでいきたいです。

——学習カリキュラムで特に工夫されていることはありますか?

金子さん:今はネットで園芸情報がたくさん手に入る時代です。

園芸系のYouTuberの方も多く、分かりやすい動画もたくさんあります。ただ情報が多すぎて、どれが自分に必要な情報かが分かりにくくなっている部分もあると感じますね。そんな時、まず基本に立ち返っていただけるようなカリキュラムを重視しています。

育て方の背景にある植物全般に共通する理論を知ることで、応用が利くようになります。YouTubeの情報が間違っているということではありません。

ただ、「何が一番根本になるのか」が分かりにくい時代だからこそ、幅広い知識を基本から学んでいただけるカリキュラムを組んでいます。

 資格取得後もつながる、全国のグリーンアドバイザーたち

——印象に残っている受講生のエピソードがあれば教えていただけますか?

金子さん:小学校の先生をされていた方が、「子どもの頃から好きだった植物の仕事をしたい」と学校を辞め、植物を扱う仕事へ転身されたんです。

その方も震災のときに率先して、たねダンゴの活動に参加してくれました。

みなさんに共通するのは、「植物が好きで、植物を通じて人を豊かにしたい」という想いがあることです。

佐々木さんが花の苗を運ぶ画像

グリーンアドバイザーの資格取得後、大好きな植物の寄せ植え屋さんを始めた佐々木さん。


——グリーンアドバイザー取得後のコミュニティについて教えてください。

金子さん:各地でグリーンアドバイザーの方々が集まって結成した「グリーンアドバイザーの会」が現在14団体あります。

協会はこうした会の設立から継続的な活動まで、バックアップをしています。

それぞれの地域にあった園芸セミナーなどを開催し、情報交換や勉強会などを行っているんです。

バラセミナーの様子

バラセミナーの様子


また、たねダンゴセミナーを全国各地で開催しており、参加者同士が交流できる場も設けています。

お茶会を開くこともあり、互いに協力・支援出来る「仲間づくり」と「出会いの場」 の提供を大切にしています。

たねダンゴセミナーの様子の画像

たねダンゴセミナーの様子。


——イベントへの参加もされているのでしょうか?

金子さん:協会では、実際に植物を見たり触ったりする場として「日本フラワー&ガーデンショー」を1991年から単独開催していました。

コロナ禍で一時中断しましたが、現在は7団体が共同で開催する大規模なイベントに形を変えて継続しています。

2027年に横浜市で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」へも出展を予定しています。イベントへの参加を通じて、資格者が活躍できる場をこれからも広げていきたいですね。

横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026の画像

「植物が好き」、それだけでいい

復興支援活動の様子

復興支援活動の様子


——最後に、学びを迷っている方へメッセージをお願いします。

金子さん:公益社団法人 日本家庭園芸普及協会のホームページのキャッチコピーである、「植物が好き、それだけで始められる。 仕事にもライフワークにも。あなたの暮らしと社会に 花と緑の力を広めませんか」を、今一番伝えたいです。

「植物が好き」という方にはぜひトライしていただきたい。資格取得後は、仕事にしたり、ライフワークにしたりと自分なりに生活に取り入れてもらえたら嬉しいです。

暮らしと社会に花と緑の力を広めていただきたいと思っています。

——本日は、ありがとうございました。
公益社団法人 日本家庭園芸普及協会 公式サイトへ
 グリーンアドバイザー 申込みサイトへ 

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この記事を書いた人
森田かえ

森田かえ

教育・子育て・暮らしを中心に執筆する取材ライター。 人の想いや背景を丁寧に聞き取り、言葉にすることを大切にしている。 子どもや家族、地域にまつわるテーマを軸に、読み手の暮らしに届く文章を心がけている。 お酒を飲みながら推しの番組を見る時間が、ささやかな幸せ。

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