パワーストーンを趣味として楽しむ方が増える一方で、「どこで、何を基準に学べばいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。
日本パワーストーン協会は、鉱物学やジュエリー学の知見と、長年蓄積してきたお客様の声をもとに、パワーストーンを体系的に学べる環境を整えている団体です。資格取得で終わるのではなく、その後も学び続けられる仕組みやフォロー体制を大切にしています。
今回は、日本パワーストーン協会 理事長の山本奈央さんに、協会設立の背景から、資格・講座の内容、資格取得後の活動の形まで詳しく伺いました。
「好き」を確かな知識に変えたい方、将来的に活動の幅を広げたい方に向けて、パワーストーンを学ぶことで広がる可能性をお届けします。
石がくれた「前に進むきっかけ」——日本パワーストーン協会設立の原点

日本パワーストーン協会 理事長・山本奈央さん
――日本パワーストーン協会を立ち上げる原点となった出来事を教えてください。
私の話で恐縮ですが、平成13年に大きな交通事故に巻き込まれました。120kmの暴走自動車が絡む、7台の玉突き事故です。
救急車で運ばれたとき、「80%は助からない」と言われました。残りの20%も、目覚めたとしても知能障害や身体障害が残る可能性があると、告げられたそうです。
4日後に奇跡的に目覚めましたが、そこからがまた大変でした。家族の顔も、日本語も分からない。記憶喪失と高次脳機能障害の状態で、一生歩けないとも言われていました。
そんな状況の中で、両親が願いを託して贈ってくれたのが“一粒の石”です。
当時は、生きる希望さえ見えないような状態でした。正直なところ、石を手にしただけで何かが急に変わったわけではありません。それでも、ほんのわずかでも「前に進もう」と思える気持ちのきっかけになりました。
長く辛いリハビリを続ける中で、少しずつ回復していきました。車椅子から杖へ、そして歩けるようになり、最終的には日常生活に支障のないレベルまで戻ることができました。
――とても大変なご経験をされたのですね。そこから、どのように現在の活動へとつながっていったのでしょうか。
姉が作業療法士として、リハビリの一環でビーズをゴムに通す作業を取り入れてくれました。最初は指先の機能回復のための訓練でしたが、やがてブレスレットという形になっていきました。
完成したブレスレットを、お世話になった方へお渡ししたところ、とても喜んでいただけました。ものづくりを通して、人に何かを届けられることを実感した出来事でした。
そして「これで恩返しができたらいいな」と思い、パワーストーンのお店を始めました。
私のように悩んでいる方が少しでも前を向けるように、“駆け込み寺”のような場所になれたらと考え、全国で20店舗を立ち上げました。協会の活動は、その延長線上にあります。
「正しく伝えたい」という思いから生まれたパワーストーン学
――店舗展開をされる中で、日本パワーストーン協会を立ち上げる必要性を感じられたのは、どのような点だったのでしょうか。いちばん大きかったのは、売り方への問題意識です。
例えば、適正価格であれば5,000円ほどの石に対して、「私が念を入れるから大丈夫」といった言葉を添えて、30万円で販売されているケースもあります。そうした現状を見るたびに、強い違和感を覚えていました。
石が好きな人は、とても純粋です。その純粋な気持ちにつけ込むような売り方は、あってはならないものだと思っています。だからこそ、正しい知識をきちんと伝える団体が必要だと考えました。
私は、「持ったら明日から金持ちになる」といったことは一度も言ったことがありません。私にとって石は、人生のしんどい時期に気持ちを支えてくれた、“きっかけのアイテム”です。
石に支えられた経験があるからこそ、曖昧な言葉で過度な期待をあおったり、不安を利用して高額で販売したりするような状況を、少しでも健全なものにしていきたいと思っています。
石が好きな人だけでなく、「なんとなく怪しい」と感じている方にも、きちんと理解してもらえる形で伝えていく。そのための存在が、日本パワーストーン協会です。
――売り方への問題意識が日本パワーストーン協会設立の背景にあったのですね。では、その思いは、現在の協会運営にどのように反映されていますか。
やはり一番大切にしているのは、パワーストーンを「正しい知識」として、きちんと学べる形で伝えることです。
正直、私自身も最初は「ローズクォーツは恋愛」といった定説を聞いて、「これは誰が決めているんだろう?」と疑問に思っていました。
けれど、石を否定したいわけではありませんでした。石が好きだからこそ、まずは「正しく知りたい」と思ったのです。
そこで鉱物学的な視点から学び、ジュエリー学的にも権威のある先生方に教わるようになりました。学べば学ぶほど、「効果」の話はあっても、それを体系立てて学べる形がないことに気づきました。それならば、自分が形にしようと考えました。
現場では、お客様が何に悩み、どんな石を選び、どう感じたのかという声が日々たくさん集まります。私はそうした声を長年にわたって記録し、統計として取り続け、現在では10万5,000人分のデータを蓄積しています。
そこに鉱物学やジュエリー学の視点も加え、1冊の本としてまとめたものが、今のストーンコンダクターの教科書になっています。
「パワーストーン学」という形で提案したのは、おそらく初めてだと思っています。ふわっとした話としてではなく、学びとして真面目に伝えたかったのです。
資格取得で終わらない。“学び続ける仕組み”と変わらない軸

日本パワーストーン協会公式HP
――数ある協会の中で、日本パワーストーン協会が大切にしている考え方や、選ばれている理由はどこにあるとお考えですか?
私たちが意識しているのは、常に変化する石の世界に対応し続けることです。
実際、石の世界では新しい鉱物が次々と確認されており、年間を通して少ないときでも20個、多いときには400個ほどの新しい鉱物が見つかることもあります。
ただし、すべてが定番として市場に定着するわけではありません。長く支持される石もあれば、一時的に注目されて終わるものもあります。
こうした変化があるからこそ、知識も更新し続ける必要があると考えています。
――そうした変化に対応するために、どのような取り組みをされているのでしょうか。
そこで私たちが取り組んでいるのが、学びが続く仕組みをつくることです。
資格を取得すると学びが終わってしまうケースも少なくありません。だからこそ、知識を更新し続けられる環境を整えることが大切だと考えています。
そのため私は、研修会を何十回と継続して行い、新しい情報を届けています。
もちろん毎回同じ内容を繰り返しているわけではありません。新規の方には基礎のフォローを、継続されている方にはアップデート情報を持ち帰っていただけるようにしています。
また、私は業者さんとの横のつながりも多く、「次はこれが出た」「この石にはこういう特徴がある」といった情報が入ってきます。それを会員の皆さんへ講座や研修で共有し、全員がアップデートできるようにしています。
学んだ方が現場に立ったときに困らないよう、継続して知識を更新できる環境を整えています。
――学びを続けるうえで、日本パワーストーン協会として大切にしている姿勢はありますか。
もう一つ大切にしているのは、軸をぶらさないことです。
「正しい知識で伝える」「過度にあおる売り方はしない」という姿勢を一貫して守ってきました。その積み重ねが、信頼につながっているのではないかと思います。
こうした姿勢は、石の扱い方にも表れていると感じています。石は長く使われる中でさまざまなエネルギーを受けると考えられ、処分の仕方に悩む方も少なくありません。
そこで日本パワーストーン協会では、年に一度、市ヶ谷亀岡八幡宮にて「石払いの儀式*」を行っています。
石をそのまま捨てるのではなく、念を外した石を市ヶ谷亀岡八幡宮に引き取っていただくことで、石を丁寧に扱う文化を守りたいと考えています。

市ヶ谷亀岡八幡宮にて石払いの儀式
ライトからプロ志向まで:段階的に学べる資格制度
――日本パワーストーン協会には、どんな資格・講座がありますか?それぞれの役割と、身につくことを教えてください。大きく分けると、学びの入り口からプロ志向まで、段階があります。
まず「ストーンコンダクターライト」。これは技術編で、イヤリング・指輪・ネックレスなどを制作しながら、デザイン性を楽しめる講座です。初心者の方が「作ってみたい」という気持ちで入りやすいよう、ライトな感覚で取り組める内容にしています。
基本的には、このライトからスタートしていただく形になります。いきなりプロ志向で座学から入るのはハードルが高いと感じる方も多いからです。まずは手を動かしながら石に触れ、学ぶ楽しさを体感していただく。そのうえで、さらに深く学びたいという方が次の段階へ進んでいきます。
次に「ストーンコンダクター」。こちらは石のプロを育てる資格で、座学が中心です。石の組み合わせを体系的に学び、どのように提案するかまで落とし込んでいきます。

そして旧ディプロマ資格で、現在は「日本パワーストーン検定」。こちらは知識編で、鉱物学的な視点から体系的に学ぶものです。「好き」を入口にしながらも、知識をしっかり身につけたい方の選択肢になります。
さらに、“ものづくりの世界観”を深められるのが「ストーンリウム認定講座」です。
テラリウムやコケリウムのパワーストーン版で、「自宅をパワースポットに」がテーマ。ジオラマのように、360度どこから見ても美しい作品を制作します。
季節のテーマに合わせた作品や、「虹の橋のたもと」をイメージした作品を制作される方もいます。ペットロスを経験された方が、想いを込めて作品を作ることもあり、その制作の時間そのものが大切なプロセスになっているのだと思います。
「作品」と「商品」は違う——プロとして必要な視点
――では、そうした学びを経て、実際に“プロ”として活動していくには、どのような視点が必要なのでしょうか。一番大きいのは、「作品」と「商品」の違いに気づくことだと思います。ハンドメイドとして見栄えがよくても、壊れやすい、重すぎる、長持ちしないとなると、お客様は安心して使えません。
たとえばゴムブレスも、適当に作ると緩んだり伸びたりしてしまいます。お客様に長くご愛用いただくには、見た目の美しさだけでなく、“品質として成立しているか”まで考えなければいけません。そこに気づいたときに、視点が変わる方が多いです。
もう一つは、提案の仕方です。私はよく「石のソムリエ」と言うのですが、お悩みを丁寧に聞いて、その方に合う組み合わせを考え、分かりやすい言葉でお伝えする。ふわっとしたスピリチュアルではなく、相手の状況を受け止めて、納得できる形に落とし込む。そこが、趣味と仕事の違いだと思っています。
資格取得後の活かし方:講師・販売・コンテストなど広がる活動の形

――資格取得後、どんな形で活躍されている方が多いですか?「趣味から仕事へ」の道筋を具体的に知りたいです。
多いのは、教室の先生として活躍する道です。
ご自身の教室で資格を活かして講座をしたり、メニューとして提供したりする方が多いですね。資格を取ったことで、伝え方に自信がつく方もいます。
日本パワーストーン協会側の研修会も開催しているので、学び続けながら活動を広げていけます。
さらに、コンテストで活躍される方もいます。
作品名や作品に込めた思いを書く機会があるのですが、最初は淡々と書いていた方が、だんだん熱量を持って言語化するようになっていく。石への向き合い方が深まり、表現が変わっていくのを見ていると、こちらも嬉しくなります。
ストーンコンダクターの先生方には、卸値で石を提供しています。
私の利益を乗せるのではなく、原価に近い形でお譲りしています。活動を広げていただくことを目的としているため、利益がほとんど出ない場合もあります。
先生方はそこからご自身で価格を決められます。活動を続けるためには、現実的な運営も必要です。そういう意味で「続けやすい」と喜んでくださる方も多いですね。学びを“続く活動”に変えていくための仕組みとして、役に立っていると思います。
パワーストーンは「気持ちの後押しアイテム」
――山本さんにとって、パワーストーンはどんな存在ですか?石はあくまでも「気持ちの後押しアイテム」だと思っています。持った翌日から金持ちになるなら、世の中みんな金持ちになりますよね。そんなことはありません。
私が事故から回復できたのも、石だけの力だとは思っていません。
石の存在、家族の支え、自分が生きたいと思った気持ち。その三つが重なったからこそ、回復につながったのだと考えています。
だから私たちは、「石が救ってくれる」とは言いません。これまで積み重ねてきた10万5,000人分の声の中で、「この組み合わせを選んだ方が、こう感じた」という事実を大切にしているだけです。
人が前に進むには、モチベーションが必要です。しんどいときほど、そっと背中を押してくれる何かがあるだけで、気持ちは大きく変わるものです。パワーストーンは、その一歩を後押しする存在であってほしいと思っています。
――日本パワーストーン協会として、パワーストーンを通じて実現したい「これからの社会」を教えてください。
目指しているのは、風通しのいい社会です。小さなコミュニティの中で思いやりが広がることが、社会全体を変えていくと信じています。
講座では「争いのない地球に」とお伝えしていますが、特別なことをしているわけではありません。
一人ひとりが、身近な場所で少しだけ思いやりを持つ。その輪が広がっていく社会をつくりたいと考えています。
もともと全国展開したのも、その思いからでした。当時は暗いニュースも多く、東日本大震災もあり、気持ちが沈んでいる方が多い時期でした。だからこそ、少しでも前向きになれる“心の拠りどころ”のような場所を各地につくりたいと思ったのです。
いまは日本パワーストーン協会という形で、各地の先生方がその思いを伝えてくださっています。打算ではなく、心から石と向き合う人が全国に広がっていくこと。それが、私の願いです。
みんながハッピーでいられる社会に、少しでも近づいていけたらと思っています。
「好き」を、正しい知識で広げていく

――最後に、受講を検討している方へメッセージをお願いします。
繰り返しになりますが、パワーストーンが好きな方は、本当に純粋な気持ちで石と向き合っている方が多いと感じています。学びを通して、そうした思いをあらためて実感していただけると思います。
石を学ぶと、石の歴史のすごさが見えてきます。人間は自然に進化してきたと思いがちですが、石を投げて身を守ったり、火打ち石で火を起こして獣を遠ざけたりと、石の存在が人間の暮らしを支えてきました。石があったからこそ、今の私たちがいるとも言えるのです。
そうした石の魅力や背景を知っていただきながら、歴史を振り返りつつ、鉱物学やジュエリー学の視点から正しい知識を学んでいけたら嬉しいです。
パワーストーン資格で、「好き」を次の一歩へ
今回の取材を通して印象的だったのは、パワーストーンを神秘的なものとして扱うのではなく、正しい知識のもとで誠実に向き合おうとする姿勢でした。趣味として楽しむことも素敵ですが、正しい知識を身につけることで、その世界はさらに広がります。教室運営や販売など、自分らしい関わり方を見つけることもできるでしょう。
もし今、「きちんと学んでみたい」「自分の好きなことを、形にしてみたい」そう感じているなら、一度講座内容をチェックしてみてはいかがでしょうか。
日本パワーストーン協会では、初心者向けのライト講座からプロ志向の資格まで、段階的に学べる仕組みが整っています。まずは公式サイトで詳細を確認し、自分に合った学び方を見つけてみてください。