趣味とまなびで毎日を、もっと楽しく。趣味の教室、レッスン、ワークショップも掲載中♪ | 趣味なび

趣味とまなびで毎日を、もっと楽しく
お教室 21,000 教室
オンラインレッスン・ワークショップ 4,400

協会の講習をオンライン化するには?著作権と受講記録の注意点

協会の講習をオンライン化するには?著作権と受講記録の注意点
協会・業界団体が実施する講習をオンライン化
協会・業界団体が実施する講習をオンライン化する際に確認すべき論点は、「法令上の可否」「著作権」「受講記録」の3つです。法定講習の一部は、教育内容・教育時間・講師の要件・受講した事実の確認といった条件を満たせばeラーニング等での実施が認められていますが、認められる範囲は制度ごとに異なります。

著作権については、外部から購入した映像教材をデジタル化して配信することは、原則として権利者の許諾がなければできません。一方、自団体が主催した講習の録画や独自に作成した資料であれば配信できますが、登壇した講師の許諾が別途必要です。受講記録は、法令で保存期間が定められているものがあります。

講習をオンライン化する際、最初に確認すべきことは何ですか?

確認すべき論点は3つあります。順序を守って確認することが重要です。

論点 確認する内容
1 法令上の可否 その講習がオンラインでの実施を認められているか。認められる場合の条件は何か
2 著作権・著作隣接権 配信しようとしている教材・映像を、権利上配信できるか
3 受講記録 受講した事実をどう確認し、記録をどう残すか



1が「不可」であれば、2と3を検討する意味がありません。逆に、1が「可」であっても、2で権利上の問題があれば実施できません。


多くの場合、検討が止まるのは2の著作権です。「動画で配信すればよい」と考えて進めたあとに、教材の権利関係で行き詰まる例が少なくありません。教材の権利関係は、システムを選ぶ前に確認するのが順序として正しいといえます。

法定講習はオンラインで実施できますか?

制度によって異なります。一律に「できる」「できない」と整理することはできません。

労働安全衛生法にもとづく安全衛生教育については、厚生労働省が2021年(令和3年)1月に通達を出し、インターネット等を介したeラーニング等により実施する際の基本的な考え方と留意事項を示しました。


同年9月には、登録教習機関が技能講習をeラーニング等で行う場合のガイドラインが示されています。

区分 オンライン実施 根拠・確認先
事業者が行う安全衛生教育(雇入れ時教育、特別教育、職長教育 ほか) 条件を満たせば実施できる 令和3年1月25日付 基安化発0125第1号・基安安発0125第2号・基安労発0125第1号
登録教習機関が行う技能講習 ガイドラインに沿えば実施できる 令和3年9月1日付「インターネット等を介したeラーニング等により行われる技能講習等の実施ガイドライン」
各業法にもとづく講習(建築士定期講習、消防設備士の講習、更新研修 ほか) 制度ごとに異なる 所管官公庁および実施機関の公表資料




各業法にもとづく講習は、所管する官庁も実施機関の指定の仕方も制度ごとに異なります。都道府県が実施要綱を定めている制度では、同じ講習でも都道府県によって運用が分かれることもあります。


また、実技・演習を含む講習については、その部分の実施方法を個別に確認する必要があります。「講義部分はオンライン、演習部分は参集」という組み合わせで運用されている例もあります。

オンライン実施が認められる場合、どのような条件がありますか?

労働安全衛生法にもとづく安全衛生教育をeラーニング等で行う場合、通達では次の点を満たす必要があるとされています。「動画を配信すれば足りる」わけではありません。


① 科目の範囲を満たしていること
法令で定められた教育科目の範囲を、すべてカバーしている必要があります。


② 教育時間を満たしていること
教材の閲覧・視聴等による教育時間が、法令で定められた時間以上である必要があります。「内容は同等だが時間は半分」といった短縮は認められません。


③ 講師の要件を満たしていること
映像教材に出演する講師、および教材を作成・監修する者が、当該科目について十分な知識または経験を有している必要があります。


④ 必要な教材を用いること
教本など、必要な教材を用いて行う必要があります。


⑤ 受講した事実を適切に確認できること
受講者が実際に受講した事実を、適切に確認できるしくみが求められます。受講者自身が視聴時間を操作できる形式の場合には、確認のための措置が必要とされています。

購入した映像教材をデジタル化して配信できますか?

原則としてできません。権利者の許諾が必要です。


外部の制作会社や上位団体から購入したDVD等の映像教材について、購入によって得ているのはその物(媒体)の所有権であり、著作権そのものではありません


映像をデジタルデータに変換する行為は著作権法上の複製にあたり、それをインターネット等で配信する行為は公衆送信(送信可能化を含む)にあたります。いずれも著作権者が専有する権利であり、許諾なく行うことはできません。


行為 該当する権利
DVDの映像をデータ化する 複製権(著作権法第21条)
データをサーバーに置いて配信する 公衆送信権・送信可能化権(同法第23条)





「会員限定だから」「無料だから」という理由で許諾が不要になることはありません。公衆送信については、非営利・無料であることを理由とする例外規定は用意されていません。


配信を検討する場合は、教材の権利者に対して、配信の範囲(対象者・期間・視聴回数など)を特定したうえで許諾を求めることになります。追加のライセンス料が発生する場合もあります。

「教育目的なら自由に使える」という例外は使えますか?

協会の講習では、使えないと考えて検討するのが安全です。

著作権法第35条は、学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く)において、授業の過程で著作物を利用する場合の例外を定めています。この規定を根拠に「教育目的なら自由に使える」と理解されていることがありますが、適用範囲は限定的です


同条の対象となる「教育機関」に、企業内研修は含まれません。文化庁が公表している運用指針でも、企業内で行われる研修は対象外とされています。


協会・業界団体が会員企業向けに実施する講習は、学校教育法上の学校等にあたらない場合が多く、第35条の適用は期待できないと考えるのが安全です。


また、著作権法第38条第1項には、営利を目的とせず、料金を受けない場合の上演・演奏・上映・口述についての例外がありますが、この規定に公衆送信は含まれていません


会場で映像を上映することと、インターネットで配信することは、著作権法上まったく別の行為として扱われます。

自団体が主催した講習の録画は配信できますか?

配信できます。ただし、登壇した講師の許諾が別途必要です。

自団体が主催した講習であっても、その場で話した講師には著作隣接権(実演家の権利)が生じます。

行為 該当する権利
講義の様子を録画する 実演家の録音権・録画権(著作権法第91条)
録画をサーバーに置いて配信する 実演家の送信可能化権(同法第92条の2)

さらに、講師が用意したスライド資料・配布資料には、講師自身の著作権が生じています。これらを配信で使うには、資料についての許諾も必要です。


一方、次のものは自団体で扱いやすい素材です。


  • 事務局が作成した資料・図表
  • 自団体の職員が職務として作成した教材(職務著作にあたる場合)
  • 地域の事例、統計、自団体が独自に収集したデータ
  • 過去の講習で使用した自団体作成のテキスト

「自団体にしかないコンテンツ」は、権利関係が最も整理しやすく、かつ他では手に入らない価値を持ちます。外部から購入した教材の配信許諾を交渉するより、こちらを起点にするほうが現実的です。

講師や登壇者からは、どのような形で許諾を得ればよいですか?

書面で、範囲を特定して得るのが基本です。口頭の了解だけでは、後任者に引き継いだ際に範囲が不明確になります。

項目 特定する内容
利用の態様 録画すること/録画をインターネットで配信すること(両方を明記する)
配信の対象者 会員限定か、一般公開か。会員企業の従業員まで含むか
配信の期間 期間を区切るか、無期限か
配信の範囲 全編か、一部か。編集の可否
資料の扱い 投影資料・配布資料を配信に含めるか。受講者がダウンロードできるか
謝金・報酬 配信することによる追加の謝金の有無
中止・削除 講師からの申し出により配信を停止する場合の取扱い




もっとも確実なのは、新たに収録する講習について、依頼の段階から「録画・配信を前提とする」ことを伝えておくことです。

すでに実施済みの講習を後から配信しようとすると、講師に個別に連絡して許諾を求めることになり、連絡がつかない場合は使えません。

受講記録はどのように残せばよいですか?

法令で保存期間が定められているものがあります。

労働安全衛生規則第38条は、事業者に対し、特別教育を行ったときは受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存することを義務づけています。

制度によっては保存期間の定めがないものもありますが、実施した事実を証明できるのは記録だけです。

オンライン実施の場合に残るもの

eラーニング等で実施した場合、受講者ごとの視聴ログがシステム上に残ります。


集合形式 オンライン形式
出席の確認 受講者名簿への署名等 ログイン記録
受講時間の確認 開始・終了時刻の記録 教材ごとの視聴時間の記録
途中離脱の把握 目視による確認 視聴の中断・再開の記録
記録の作成 実施報告書を別途作成 システム上の記録がそのまま残る



集合形式では、受講者名簿と実施報告書を別途作成し、保管する必要があります。オンライン形式では、受講の事実の確認(前述の要件⑤)と、記録の作成・保存が同じしくみの中で完結します

集合研修をやめる必要はありますか?

ありません。すべてをオンラインに置き換える必要はありません。

形態 内容 向いている場面
全面オンライン 講義・演習ともにオンライン 講義中心の講習、受講者が広域に分散している場合
併用(ハイブリッド) 講義部分はオンライン、演習・実技は参集 演習を含む講習、法令上の要件で参集が求められる部分がある場合
オンラインを追加 集合研修は従来どおり継続し、参加できなかった人向けにアーカイブを提供 日程が合わず受講を見送る人が一定数いる場合


3つ目の「オンラインを追加」は、最も導入しやすい形です。既存の運営を変えずに、受講機会だけを増やせるためです。

「日程が合わず、次回の開催を待っていただいている」という状況がある場合、受講機会が増えることは受講料収入の増加に直結します。投資対効果を数字で説明しやすいのは、この形からです。

どこから始めるのが現実的ですか?

反響の大きかった講習1本のアーカイブ配信から始めるのが、最も現実的です。理由は3つあります。


① 権利関係の確認範囲が最小になる
1本であれば、講師は1〜数名です。許諾の取得も現実的な作業量に収まります。


② 稟議の金額と心理的ハードルが下がる
「講習事業をすべてオンライン化する」という提案は、規模の面でも決裁の面でも重くなります。1本から始めれば、効果を確認したうえで拡大を判断できます。


③ 運用上の課題が実物で見える
収録の方法、受講者の反応、問い合わせの内容、記録の扱い——これらは実際に1本やってみないと分かりません。

最初に決めておくとよいこと

項目 検討内容
対象の講習 申込が定員を超えている/同じ内容を年に何度も開催している講習
収録の方法 会場での収録か、スタジオ収録か、スライド+音声か
権利の確認 講師の許諾、使用する教材の出所
配信の範囲 会員限定か、期間限定か
記録の扱い 受講の確認方法、記録の保存期間
法令上の位置づけ 法定講習として扱うのか、任意の研修として扱うのか





最後の項目が特に重要です。

「法定講習の代替」として位置づけるのか、「法定講習とは別の任意研修」として位置づけるのかで、満たすべき要件がまったく変わります。

まず任意研修から始めて運用を固め、そのうえで法定講習への適用を検討するという進め方もあります。

まとめ

  • 確認すべき論点は「法令上の可否」「著作権」「受講記録」の3つ。この順序で確認する
  • 法定講習のオンライン実施の可否は制度ごとに異なる
  • 要件は、科目の範囲・教育時間・講師の要件・教材・受講した事実の確認の5点
  • 購入した映像教材のデジタル化・配信は、原則として権利者の許諾が必要。会員限定・無料であっても同じ
  • 著作権法第35条(教育機関の例外)は、協会の講習では使えないと考えて検討するのが安全
  • 上映と公衆送信は別の権利。会場で見せられていたことは、配信できる根拠にならない
  • 自団体主催の講習の録画は配信できるが、講師の許諾が別途必要(実演家の権利、資料の著作権)
  • 許諾は書面で、対象者・期間・範囲・資料の扱いまで特定して得る
  • オンライン形式では、受講の確認と記録の作成が同じしくみで完結する
  • すべてを置き換える必要はない。反響の大きかった講習1本のアーカイブ配信から始めるのが現実的

よくある質問(FAQ)

Q. 法定講習はオンラインで実施できますか?

A. 制度によって異なります。労働安全衛生法にもとづく安全衛生教育は、科目の範囲・教育時間・講師の要件を満たしたうえで、必要な教材を用い、受講した事実を適切に確認できる場合、eラーニング等で実施できるとされています(令和3年1月25日付け通達)。各業法にもとづく講習は制度ごとに扱いが異なるため、所管官公庁への確認が必要です。

Q. 購入したDVD教材を動画配信に使えますか?

A. 原則として権利者の許諾が必要です。購入によって得ているのは媒体の所有権であり、著作権ではありません。映像のデータ化は複製、配信は公衆送信にあたり、いずれも著作権者が専有する権利です。会員限定・無料であることを理由とする例外規定はありません。

Q. 会場で上映していた映像なら、配信もできますか?

A. できません。上映と公衆送信は著作権法上まったく別の行為として扱われます。著作権法第38条第1項の例外は上演・演奏・上映・口述を対象としており、公衆送信は含まれていません。上映についての許諾があっても、配信の許諾にはなりません。

Q. 講師の許諾はどのような形で取ればよいですか?

A. 書面で、範囲を特定して得るのが基本です。録画すること・配信すること・配信の対象者・期間・範囲・投影資料の扱い・追加の謝金の有無・配信停止の申し出への対応を明記します。新たに収録する講習については、依頼の段階から録画・配信を前提とする旨を伝えておくのが確実です。

Q. オンライン受講の記録は教育実施記録として使えますか?

A. eラーニング等で実施した場合、受講者ごとの視聴ログがシステム上に残ります。労働安全衛生規則第38条のように記録の作成・保存が義務づけられている教育では、受講の確認と記録の作成が同じしくみで完結します。ただし、記録として何を残すべきかは制度ごとに確認が必要です。

Q. 集合研修とオンラインを併用することはできますか?

A. できます。講義部分をオンライン、演習・実技を参集とする形や、集合研修を従来どおり継続したうえで参加できなかった人向けにアーカイブを提供する形が多くみられます。すべてを置き換える必要はありません。

Q. どのくらいの規模から始めるのが現実的ですか?

A. 反響の大きかった講習1本のアーカイブ配信から始める例が多くみられます。講師が1〜数名であれば権利関係の確認が現実的な作業量に収まり、効果を確認したうえで拡大を判断できます。

参考・一次情報

e-Gov法令検索「著作権法」
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
厚生労働省「インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について」(令和3年1月25日付)
安全衛生情報センター「技能講習等の実施ガイドライン等の周知について」(令和3年9月1日付) 
文化庁「著作権制度に関する情報」

WRITER

この記事を書いた人
趣味なび編集部

趣味なび編集部

ヨガやピラティスの教室、レッスン、ワークショップの関する記事一覧、「趣味とまなびで毎日を、もっと楽しく」♪リラックスしたい方や体を動かしたい方にピッタリの情報をお届けします。

RECOMMEND

この記事を読んだ方へおすすめ