大きく分けて、①施設 ②許可 ③人の3つが揃う必要があります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 施設 | 保健所の定める施設基準を満たす設備(シンクの数、手洗い設備、区画など) |
| 許可 | 保健所の営業許可 |
| 人 | 施設ごとに食品衛生責任者を定める |

食品衛生責任者とはどのような役割ですか?
食品営業許可施設および食品営業届出施設の営業者は、施設ごとに食品衛生責任者を定めなければならないとされています。
施設における食品衛生上の管理運営にあたる立場で、営業者が自ら食品衛生責任者となることもできます。
なるための道は2つあります。
| ルート | 内容 |
|---|---|
| ① 養成講習会を修了する | 都道府県知事等が指定する講習会を修了する |
| ② 一定の資格を有する | 栄養士、管理栄養士、調理師、製菓衛生師など。受講は免除される |
②に該当する場合、養成講習会を受ける必要はありません。すでに調理師免許を持っているのに、それを知らずに受講してしまう例があります。まず免除の対象かどうかを確認してください。
養成講習会はどのような内容ですか?
養成講習会は、公衆衛生学・食品衛生学・食品衛生法(関係法令)の3科目で構成され、おおむね合計6時間程度とされています。修了時に確認テストが行われる形式が一般的です。
1日で完結する形式が多く、修了後に食品衛生責任者手帳等が交付されます。
e-ラーニングでも受講できます
食品衛生責任者養成講習会のe-ラーニングは、全国の複数の食品衛生協会で導入が進んでいます。インターネットを使用してパソコン・タブレット・スマートフォンなどで動画等を視聴する形態です。
会場の日程が合わない場合や、いまの仕事を続けながら開業準備を進めたい場合の選択肢になります。ただし、申込みの条件・受講可能な期間・実施の有無は協会によって異なります。
申込先は?
| 状況 | 申込先 |
|---|---|
| 食品を取り扱う施設に勤務している | 勤務先施設の所在地を管轄する食品衛生協会 |
| 勤務していない | 申込者自身の自宅住所を管轄する食品衛生協会 |

食品衛生協会は都道府県および政令市などの区域ごとに置かれています。どこで受けてもよいわけではない点に注意が必要です。
この道を目指すべきなのはどんな人ですか?
| こんな方 | この道のどこが合うか |
|---|---|
| いつか自分の店を持ちたい | 資格面のハードルは6時間の講習。難しいのは資格ではなく準備の順番 |
| 飲食店で働いていて、独立を考えている | 調理師免許を持っていれば養成講習会は免除。すでに条件を満たしている場合がある |
| 自分の裁量で仕事を決めたい | メニュー、価格、営業時間、店の空気——すべてを自分で決められる |
| 人が喜ぶ瞬間を直接見たい | 提供したものへの反応が、その場で返ってくる |
| 小さく始めたい | 規模を問わず、同じ制度で開業できる |
| 働きながら準備したい | e-ラーニングで受講でき、資格取得のために仕事を辞める必要がない |

一方で、飲食店の開業は資格より、資金・立地・原価・人手の設計で決まる部分が大きい世界です。資格が取れることと、店が続くことは別の話——ここを冷静に見ておく必要があります。
ほかに必要な手続きはありますか?
業態と規模によって変わります。代表的なものは次のとおりです。
| 手続き | 必要になる場合 | 届出先 |
|---|---|---|
| 防火管理者の選任 | 収容人数が一定以上の店舗 | 消防署 |
| 深夜における酒類提供飲食店営業開始届出 | 深夜(0時以降)に主として酒類を提供する場合 | 警察署 |
| 風俗営業許可 | 接待を伴う営業を行う場合 | 警察署 |
| HACCPに沿った衛生管理 | 原則としてすべての食品等事業者 | (日常の運用) |

HACCPについて
HACCPに沿った衛生管理は、2021年6月から原則としてすべての食品等事業者に義務づけられています。
大がかりな設備投資が必要だと受け取られることがありますが、小規模な事業者については、業界団体が作成した手引書を参考にした簡略化されたアプローチが認められています。
手引書は業種ごとに作成されており、日々の衛生管理を記録する形が基本になります。
自分の店を持つと、どのような未来が開けますか?
飲食の仕事は、雇われて働く道と、自分で店を持つ道の両方が最初から開かれている分野です。
| 段階 | 立場 | 担うこと |
|---|---|---|
| 1 | 調理・ホールスタッフ | 調理、接客、店舗運営の実務 |
| 2 | 店長・料理長 | シフト、原価、仕入れ、売上の管理 |
| 3 | 独立・開業 | 店のすべてを自分で決める |
| 4 | 多店舗展開・法人化 | 複数店舗の経営、人材の育成 |

独立して初めて手に入るもの
① 決定権
何を出すか、いくらで出すか、何時に開けるか、誰と働くか。雇われている限り決められないことを、すべて自分で決められます。
② 積み上げが自分に残る
常連客との関係、店の評判、仕入先との信頼——それらは会社ではなく、自分と店に蓄積します。
③ 規模の選択
カウンター数席の店から、複数店舗の展開まで、規模は自分で選べます。「大きくしないこと」も選択できるのが、この道の自由度です。
店を持ったあとに広がる道
- 業態を変える/2店舗目を出す/法人化する
- 仕出し・弁当・通信販売など、提供方法を広げる(別の営業許可が必要な場合があります)
- 後進の育成、独立支援
- 地域の食品衛生協会などを通じた業界活動
収入はどれくらいになりますか?
雇われて働く場合
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした各種の集計では、調理の職種の全国平均年収はおおむね380万円前後とされています(令和7年賃金構造基本統計調査にもとづく集計)。店長・料理長といった役割に就くと、これより高い水準になる例がみられます。
自分で店を持つ場合
独立後の収入は給与ではなく事業の利益です。売上から、原価・家賃・人件費・水道光熱費・その他の経費を差し引いた残りが、経営者の取り分になります。
| 収入を決める要素 | 内容 |
|---|---|
| 立地と家賃 | 固定費の中心。売上が変動しても減らない |
| 原価率 | 提供する料理と仕入れの設計で決まる |
| 席数と回転数 | 1日の売上の上限を決める |
| 人件費 | 自分ひとりで回すか、人を雇うか |
| 営業日数・営業時間 | 自分で決められる一方、そのまま売上に直結する |

これは雇用されている場合との最大の違いです。「独立すればいくら稼げる」という平均値には、あまり意味がありません。設計次第で決まる——それがこの道の性質です。
だからこそ、開業前に原価・家賃・想定客数を数字で組み立てておくことが、資格の取得以上に重要になります。
この道を目指すメリットは何ですか?
① 資格のハードルが低い
食品衛生責任者になるための養成講習会はおおむね6時間、1日で完結します。試験に何年もかける必要はありません。自分の店を持つという目標に対して、資格面が障害になることはほとんどない——これがこの分野の大きな特徴です。
② すでに条件を満たしている人がいる
栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格を持っている場合、養成講習会の受講は免除されます。飲食の現場で働いてきた人の中には、すでに開業の資格要件を満たしていることに気づいていない人がいます。まず確認する価値があります。
③ 働きながら準備できる
e-ラーニング型の養成講習会が導入されています。いまの仕事を辞めずに、資格の準備を進められます。開業は資金と準備に時間がかかるものだからこそ、収入を止めずに進められる意味は小さくありません。
④ 規模を自分で選べる
カウンター数席の店でも、大型店でも、同じ制度のもとで開業できます。「小さく始める」ことが制度上まったく不利にならない分野です。
⑤ 決定権が自分にある
何を出すか、いくらで出すか、誰と働くか、いつ休むか。雇われている限り決められないことを、すべて自分で決められます。その代わり、結果もすべて自分に返ってきます。
⑥ 積み上げたものが自分に残る
常連客、店の評判、仕入先との信頼関係。それらは勤め先ではなく、自分と店に蓄積します。時間をかけるほど価値が増していく形の仕事です。
開業してからも講習は必要ですか?
食品衛生責任者について、養成講習会の修了そのものに有効期限は設けられていません。
ただし、食品衛生責任者は食品衛生に関する最新の知識を習得するよう努めることとされており、そのための「実務講習会」が実施されています。
まとめ
- 飲食店の開業には、施設・許可・人の3つが必要
- 設計段階での保健所への事前相談が実務上の基本。工事後だと手戻りが生じる
- 営業者は施設ごとに食品衛生責任者を定める必要がある。営業者自身がなることもできる
- 養成講習会はおおむね6時間、1日で完結。e-ラーニング型も導入が進んでいる
- 栄養士・調理師・製菓衛生師などを持っていれば受講は免除される
- 申込先は勤務先施設または自宅の所在地を管轄する食品衛生協会
- 業態によって防火管理者・深夜酒類提供の届出・風俗営業許可などが加わる
- 収入は、雇用されている場合は調理の職種で全国平均380万円前後。独立後は事業の利益であり、設計次第で決まる
- 資格が障害になることはほとんどない。難しいのは資格ではなく、資金・立地・原価の設計
よくある質問(FAQ)
Q. 飲食店を開くにはどのような資格が必要ですか?
A. 施設ごとに食品衛生責任者を定める必要があります。養成講習会を修了するか、栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格を持っていることで要件を満たします。あわせて保健所の営業許可が必要です。
Q. 調理師免許を持っていれば養成講習会は不要ですか?
A. 不要です。栄養士・管理栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格を持っている場合、食品衛生責任者の養成講習会の受講は免除されます。すでに開業の資格要件を満たしている場合があるため、まず確認することをおすすめします。
Q. 養成講習会は何時間かかりますか?
A. 公衆衛生学・食品衛生学・食品衛生法(関係法令)の3科目で、おおむね合計6時間程度とされています。1日で完結する形式が一般的で、修了時に確認テストが行われます。
Q. 養成講習会はオンラインで受けられますか?
A. e-ラーニング型の養成講習会を実施している協会があります。インターネットを通じてパソコン・タブレット・スマートフォンなどで動画等を視聴する形式です。実施の有無や申込みの条件は協会によって異なります。
Q. 保健所への相談はいつすればよいですか?
A. 施設の工事を終えてからでは、基準を満たしていない場合に手戻りが生じます。設計段階での事前相談が実務上の基本です。
Q. 独立するとどれくらいの収入になりますか?
A. 独立後の収入は給与ではなく事業の利益です。売上から原価・家賃・人件費などの経費を差し引いた残りが取り分になり、立地・原価率・席数・営業時間などの設計によって大きく変わります。上限がない一方で下限もないため、平均値では表せません。雇われて働く場合は、調理の職種の全国平均が380万円前後とされています。
Q. HACCPには大がかりな設備が必要ですか?
A. 小規模な事業者については、業界団体が作成した手引書を参考にした簡略化されたアプローチが認められています。詳細は保健所または食品衛生協会にご確認ください。
参考・一次情報
・e-Gov法令検索「食品衛生法」
・厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
・厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
・公益社団法人 日本食品衛生協会