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今回お話を伺った方
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一般社団法人キネシオテーピング協会 事務局長
白谷 智之氏キネシオテーピングの正しい知識と技術の普及に携わり、講座運営や人材育成を担当。スポーツ・医療・日常ケアなど幅広い分野への活用を通じ、現場に寄り添った啓発活動を行っている。
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実は、キネシオテーピングは人間にもともと備わる自然治癒能力を促進させる状況をつくるものです。
一般社団法人キネシオテーピング協会で事務局長を務める白谷智之氏にお話を伺ったところ、よかれと思ってやっている貼り方の多くが、実は逆効果である可能性も見えてきました。
一般社団法人キネシオテーピング協会で事務局長を務める白谷智之氏
見よう見まねのテーピングを卒業したい方や、スポーツや介護、日常のケアに活かせる知識を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
発想の転換。「固定」ではなく「循環」を生むアプローチ
――キネシオテーピングならではの特徴について教えてください。白谷さん:従来のホワイトテープでは固定と圧迫が常識でしたが、キネシオテープは真逆です。
開発者の加瀬建造は、皮膚と筋肉の間のスペースに着目しました。
皮膚をテープで持ち上げてスペースを作り出せれば、血液・リンパ液・間質液への圧迫を軽減して本来の流れや動きを取り戻しやすくなるという発想です。
国際シンポジウムの様子
海外では医療現場を中心に広く普及しており、国際シンポジウムでは、心臓外科手術後の患者をケアする際にキネシオテーピングを行った事例が報告されています。
皮膚の比較的浅い層には痛みを感じ取る受容器があり、手術後の痛み緩和を目的とした試みとして紹介されました。
スポーツだけじゃない。キネシオテープの汎用性の高さ
テーピングのやり方を学ぶ一般講座の様子
――スポーツ以外にも使用が推奨される事例を教えてください。
白谷さん:スポーツや医療関係者だけでなく、一般の方にもぜひ使っていただきたいと考えています。
腰・肩・膝の違和感を感じている方はもちろん、家事や山登り、デスクワークでの身体の使い方に悩まれている方にもおすすめです。
キネシオテープには薬品や磁力が施されておらず、どのような場面・技術とも併用しやすい特徴を持っています。
しかし、シンプルだからこそ、正しく貼れているかが重要です。
協会の基礎講座では、初めての方にも分かりやすく、テープの基本的な考え方や貼り方の手順を紹介しています。
テープを自分で貼れるようになりたい方は、ぜひ受講を検討してみるとよいでしょう。
息子が成長痛に悩まされているのですが、キネシオテーピングは成長痛のケアにも使えますか?
幅広い用途や悩みに柔軟に対応できます。
学校で行われている講座の様子
過去には、産前・産後のお悩みに特化したキネシオテーピング講座も開催しました。
人間のみならず動物(犬や馬)への使用も推奨しています。

キネシオテープを貼った馬

キネシオテープを貼った犬
一般社団法人キネシオテーピング協会とは?開発のきっかけ

――キネシオテーピング協会について教えてください。
白谷さん:前身の団体が1984年に設立され、キネシオテーピング協会自体は2007年に設立されました。
現在は、2,500名ほどの有料会員様にご登録いただいております。
今でこそ世界90ヵ国で普及しているキネシオテーピングですが、1984年当時は、伸び縮みしないホワイトテープしかありませんでした。
キネシオテープ開発者である前会長が、関節を患う患者に伸縮しないホワイトテープを使ったところ悪化させたことがありました。
そこで関節を動かす筋肉、そしてそれらを包む筋膜・皮膚に着目して、筋肉の収縮率に合わせた伸縮するキネシオテープを開発しました。
コンセプトは、「手当て」の感覚を24時間実現することです。
「手当て」の語源は、患部に手を当てて治療・処置する行為ですが、24時間行い続けるのは不可能ですよね。
それをテープで実現しようと考えたのです。
協会は、「キネシオテーピング・フォー・ワールド・フォー・ヘルス」をスローガンに掲げ、「キネシオテーピングで世界の健康を創る」というミッションのもと、国内外の幅広い分野での普及を通じて世界の健康増進を目指しています。
正しい技術を習得しよう!民間資格講座について
一般講座の様子
――キネシオテーピング協会で取得できる資格についても教えてください。
白谷さん:CKTT・CKTP・CKTIの3つの資格があります。
いずれも、キネシオテーピング法の正しい普及・指導を目的とした民間資格です。
CKTT会員を取得できる基礎講座は全国で定期的に開催しており、年間で約1,500名の方が受講されています。
仕事関係で受講される方だと、理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、カイロプラクティック、整体師など、幅広い職種の方が受講されています。
一般の方だと、スポーツ関係の方や自身の子どもにテープを貼ってあげたい親御さん、趣味に活かしたい方などが多くいます。
受講生同士貼り合うことでキネシオテーピングを体感できる対面の講座がメインですが、コロナ禍で接触や移動ができない時期に通信制の基礎講座もできました。
基礎講座では、テープを貼る前と後で筋力テストを行い、テープの効果を検証しています。腰にテープを貼った際に多くの方が変化を実感されます。
テープは貼ってる感があるのが正しいと思っている方が多くいますが、「テープの存在を忘れるくらい」が正しい貼り方です。
テープは引っ張って貼るものではないことを伝えると、「知らなかった」という声が多く聞かれます。
キネシオテーピングの技術や理論を動画で学びたい方は、以下もチェックしてみてください。
キネシオテーピング協会が目指すうれしい連鎖
キネシオテーピング体験会の様子
――読者に向けてのメッセージをお願いします。
白谷さん:毎年1,500名の方が受講されていますが、今後もさらに多くの基礎講座を受けてキネシオテーピングの概念や技術を学んでいただきたいと考えております。
悩んでいるのではなく、まず第一歩を踏み出していただきたいです。
全国各地で、体験会やイベントを実施しているので、見かけたらぜひ参加してみてください。
現会員は、テープの効果に感動し、それを他の人にシェアして喜びを分かち合っています。
そのうれしい連鎖が協会継続の原動力となっていますが、今後、もっとその輪や連鎖が広がっていくよう尽力していく所存です。
私も、学生時代にスポーツでキネシオテープのお世話になった1人です。日本ではスポーツ面でのキネシオテープの使用が多いのでしょうか?